2年後に迫った大阪・関西万博。その開催に合わせて兵庫県で展開される「ひょうごフィールドパビリオン」の一環として、世界に誇るブランド牛・但馬牛の魅力を伝えるプログラムが実施されます。兵庫県美方郡新温泉町の県立但馬牧場公園・但馬牛博物館で、但馬牛や神戸ビーフの歴史や現状について学び、牛舎の見学や牛のブラッシング体験などを行います。今回は、但馬牛(たじまうし)についても詳しく紹介します。
■但馬牛はどんな牛?
和牛と定められている品種は4種類。なかでも、黒毛和種が和牛全体の約95%を占めています。肉質がとても優れていて、全国で広く飼われている品種です。
「但馬牛(たじまうし)」は、兵庫県内で生まれた黒毛和種。父母、祖父祖母と先祖代々の血統をさかのぼると、そのすべてが県内生まれの牛です。つまり、県外の牛と交配をしない兵庫県内純血種を指します。現在では、全国の黒毛和種のほとんどが、但馬牛の血を引いているといわれています。
そんな但馬牛のなかでも、神戸肉流通推進協議会が定める厳しい基準をクリアした肉が、但馬牛(たじまぎゅう※)と呼ばれます。条件は、但馬牛を素牛(もとうし)とし、生まれも育ちも兵庫県で、県内の食肉センターに出荷されること。生後28か月以上60か月以下の雌または去勢牛で、肉質等級は5段階の2以上でなければいけません。(※生きている間は「たじまうし」、食肉として加工されると「たじまぎゅう」と呼び方が変わります)
美方郡は、県内をはじめ全国の和牛改良に貢献してきた地域です。2019年には、「兵庫美方地域の但馬牛システム」が、畜産部門では全国初となる「日本農業遺産」に認定されました。
■但馬牛の特長とは
但馬牛は他県の和牛よりも体は小さいものの、性格はおとなしく力持ち。昭和30年代までは、田畑を耕して農作物を作るためにも使われていました。野草だけでも飼育でき、長生きで、毎年子牛を産む能力にも優れています。
そのおいしさにも定評がある但馬牛。肉の中に脂肪がきめ細かく入り込む霜降り肉ができやすく、口当たりが良いという特長が。脂肪の質も良く、口の中で脂肪のうまみ成分がとけて鼻に抜ける香りが抜群だそう。但馬牛博物館・副館長の野田昌伸さんは「兵庫県が世界に誇る宝物のひとつが但馬牛。そのおいしさには絶対の自信があります」と太鼓判を押します。