外国に住んで、母国の良さを再認識することもあれば、その国の文化・習慣が母国にもあればと感じることもあるでしょう。このコラムでは、元新聞記者で、現在二児の母としてマレーシアで暮らす斉藤絵美さんが、南国生活の中で、日本にもあったら便利と感じたマレーシアの常識「ビニール袋文化」を紹介します。
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新型コロナの影響で、外食を避け飲食店でテイクアウトする機会が増えた人も多いのではないでしょうか? マレーシアは「テイクアウト大国」。そこで大活躍しているのが、ビニール袋です。テイクアウトする際には、飲み物から麺類やご飯類、生卵までビニール袋に入れて、口を紐で縛って、「はいっ」と手渡されます。しかし、環境保護の観点から、近い将来このビニール袋文化も消えてしまうかも……。
私が子ども2人を連れてマレーシアに移住したのはコロナ渦中の2022年春。水際対策として渡航直後は自宅隔離もあり、外食よりもテイクアウトを利用する機会が多い状況でした。
そこで、まず驚いたのが持ち帰り用の容器。日本ではプラスティック容器や紙製のランチボックスが使用されるのが一般的ですが、こちらではビニール袋が大活躍。ラーメンのようなスープヌードルを注文した際にも、麺はプラスティック容器に入れられていましたが、スープはビニール袋に。袋の口は簡易な紐で縛られていました。
コレ、麺とスープを別々にすることで麺が伸びないようになっていますし、スープは熱々であっても、紐を持てばやけどの心配もありません。食べるときは、麺の上からスープをドバッと掛けるだけ。大変便利だと感じました。見た目や盛り付けを度外視すれば、ですが。
また、ある日、生卵を買いに市場に行った際には、店のおばさんからビニール袋に入れるか、プラスティック製のパックが必要か尋ねられました。迷わずビニール袋を選択。卵パックは、ごみに出す際に意外とかさばります。ごみを減らせられるという点でも、ビニール袋を活用する利点があります。
飲み物を注文しても、もちろんビニール袋に。スープと同じように、袋の口は紐で縛られており、隙間に刺さっているストローから飲みます。紐をバイクのハンドルに引っ掛けることができるので、配達にも最適。マレーシアに限らず、ベトナムやタイなどバイク天国の国ではよく見かける光景ですが、東南アジアは屋台も多いので、ちょっとしたものをビニール袋に入れて持ち帰る文化が根付いているのかもしれません。
しかし、この「ビニール袋文化」にも陰りが……。