現在、播磨臨海地域で「カーボンニュートラルポート(CNP)」形成計画の策定が進められている。また、姫路港が水素の供給拠点として有力視されている。姫路港の発展とともに歩んできた総合物流会社『飾磨海運』(姫路市飾磨区細江)の水田裕一郎社長(58)にCNP計画の意義、地元企業の将来展望を聞いた。
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ーー脱炭素の切り札として注目される水素やアンモニアを活用してカーボンニュートラルを目指す取り組み。全国57港で始まっており、姫路でも同様の動きがある。
【水田社長】CO2の排出量が多い重厚長大企業が集積する播磨臨海地域の中核をなす姫路港で、オーストラリアから海上輸送する液化水素の受け入れ環境の整備が期待される。播磨の産業全体の脱炭素化を契機として、瀬戸内から関西にかけた広い地域で経済の好循環を生み出していくことが第一義。
ーー兵庫県と民間企業、学識経験者らによる協議会でCNP形成計画の中身を検討中とのことだが、神戸港でなく姫路港で取り組む優位性とは。
【水田社長】姫路臨海部は瀬戸内エリアでも液化天然ガス(LNG)による発電量がナンバーワンで、姫路港でのLNG輸入量は国内第4位、西日本に限れば第1位。エネルギー需要が高く、さらに妻鹿地区には水深マイナス14メートルの航路・泊地や大型タンカーが接岸可能な桟橋も有しているので、活用できれば大きな優位性がある。
計画案は今夏に「港湾脱炭素化推進計画」として取りまとまる予定だが、2050年に水素など次世代エネルギーを年間約570万トン供給できる体制を整えることが想定される。
ーー具体的にどのような体制が必要になるのか。
【水田社長】まずは貯蔵するのに相当数のタンクが要る。タンクを設置する広大な土地を確保する必要もある。播磨臨海地域を俯瞰的に見て考なければならない。先ごろJRが姫路市別所町の姫路貨物駅に「総合水素ステーション」を整備する方向性を明らかにしたことも二次輸送が拡大する追い風となる。
まだまだ水素のコストがLNGより高いことも課題。水素で発電する場合、試算では6分の1までコストを下げないとビジネスとして成り立たないと聞いている。調達費やタンカーでの輸送費、タンクでの貯蔵費をいかに抑えていくか。発電工程にも新技術が求められるだろう。ともあれ、姫路港が全国を先導する地域として国に選定されないといけない。先導地域に選ばれることで国の予算が投入されやすくなる。地元の自民党の国会議員有志もCNP推進勉強会を立ち上げて後方支援してくれている。