出産後、母親にとってはじめの大きな課題になることも多いという「授乳」。赤ちゃんを母乳で育てるか、育児用ミルクで育てるかと悩む女性も多い中、近年ではその授乳スタイルも変化してきているそう。「産前産後ケアホテル ぶどうの木」スタッフの齋藤樹奈さんに、昨今の授乳事情について聞いた。
齋藤さんによると、日本では「母乳だけで育てないといけない」というプレッシャーを感じている母親も多いという。実際に赤ちゃんに母乳だけを与えて育てる、いわゆる「完全母乳」を目指し体力的にも精神的にも疲れてしまうという女性も少なくないとのこと。近年、厚生労働省では「授乳スタイルはひとつではありません」と、多様な授乳の形を周知することを目指している。少しでも母乳を与えたことがあれば「母乳育児」と言えるのだそうだ。
厚生労働省が発表している「授乳のギモン解消ガイド」によれば、母乳には赤ちゃんを病気から守る免疫物質や酵素ホルモンなどが含まれ、かつ消化が良く赤ちゃんの脳や体の発達に適した成分になっているとのこと。
一方で「母乳で育てても育児用ミルクを使っても、どちらでも大丈夫」とも周知している。授乳の回数は1日に8回から12回以上、その間隔は数分から5時間程度とも言われる新生児を育てるためには、母乳にこだわるよりも育児ミルクと併用して、欲しがった時に欲しがった分だけ与えることが必要だという。
齋藤さんによると、母乳と育児用ミルクの最大の違いは、免疫物質やホルモンなどが含まれているかどうか。母乳にはこういった赤ちゃんを守る物質が含まれているが、だからといってたくさんの量を与えないといけないといい訳ではないとのこと。少量の母乳からでもこういった物質は赤ちゃんに伝わり、その成長を守るのだそうだ。
海外では日本ほど母乳にこだわる人は多くない、との話も。特にアメリカでは湯で溶かすタイプの粉ミルクの他に、蓋を開けるだけですぐに飲める液体ミルクや濃縮還元された「水溶けミルク」といった商品も人気があるのだという。日本でも2019年に乳児用液体ミルクが発売され、通常使用だけでなく災害時のための備蓄品としても注目されている。
齋藤さんは「様々な選択肢を知って、その中から自分や赤ちゃんに合った方法をうまく取り入れてみてください」と語った。
※ラジオ関西『Clip火曜日』「3435(さんぜんさんご)ぷろじぇくと」2023年5月27日放送回より
◆産前産後ケアホテル ぶどうの木
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