九州人にとってソウルフードともいえる菓子パン「マンハッタン」「ヤキリンゴ」「銀チョコ」。これらはすべて福岡の製パン会社『株式会社リョーユーパン』(本社所在地:福岡県大野城市)が手がける、ロングセラー商品です。
九州をはじめとし西日本を拠点に展開している同社は、九州エリア(沖縄をのぞく)のカスタマーに合わせた味付けやサイズにこだわり、独自の商品を作り続けてきました。一体どんなこだわりを持って商品を開発しているのか……。同社の企画広報部・菊池さんに話を聞いてみました。
1950年(昭和25)、戦後間もない時代にグループの母体である「唐津糧友製パン株式会社」が誕生しました。「現在の社名である『リョーユー』は創立当時の社名に含まれている『糧友(りょうゆう)』から取っており、“食料の友達”という意味が込められています」と菊池さん。スポンジケ-キとバタ-クリ-ムを緑やピンクのウエハ-スではさんだ「カステラサンド」やチーズ風味のマヨネーズソースが入った「チーズデンマーク」など、他にない個性的なパンを生み出してきた同社。商品を開発する際は、時代に合った「食」やユーザーのニーズに合わせた商品を心がけるというこだわりがあるそうです。
発売以来人気を誇り“幻のパン”と呼ばれたほどの菓子パン「マンハッタン」(1974年~)は、ドーナツブームの最中に誕生しました。
「当時の開発担当者が、ニューヨークのマンハッタンを訪れた際に出会った食べ物をもとに生まれたため、商品名もそのまま“マンハッタン”に。ざくっとしたドーナツ生地に、チョコレートをコーティングし『これまでにない食感』と、瞬く間に人気商品となりました」(菊池さん)
販売中の商品でもっとも歴史がある「ヤキリンゴ」(1962年~)は、半世紀以上販売を続けているだけあり、幅広い層から支持されています。おもしろいのが、リンゴと表記されているにもかかわらず、リンゴが入っていないのです。菊池さんによると、ヤキリンゴはもともと長崎県の「東洋軒」というパン屋のヒット商品で、元となった商品にはクリームと一緒に焼きリンゴが入っていたのだとか。
「おそらくですが、弊社で販売する際『傷みやすい』『日持ちがしない』という理由でリンゴは外されたのではないでしょうか。リンゴは入っていなくてもかわいらしい名前のおかげか、現在でも愛されるロングセラー商品です。お年寄りの方が『子どものころ、おやつとしてよく買っていた』と懐かしんで購入するケースもよく聞きますね」(菊池さん)