さて、「広島駅」から電車は進み、市内中心部に入ると「胡町(えびすちょう)」~「八丁堀」の駅間はわずか100メートル。歩いてもすぐの距離です。繁華街「八丁堀」には三越・そごう・福屋などの百貨店も集中しています。また紙屋町付近では交差点の手前に「紙屋町東」、渡ったむこうに「紙屋町西」が存在します。そんなこまめに電停を設置しなくてもと思いますが、速達性より利便性を重視した結果でしょう。なお、このあたりの電停は2編成が同時に停車できるよう、長く作られています。
「原爆ドーム前」は多くの旅行客が利用する電停。旧太田川のほとりにたたずむ原爆ドームや、G7サミットでは各国首脳も訪れた広島平和記念資料館の最寄り駅です。高さ約50メートルのおりづるタワー(広島マツダ大手町ビル)の屋上展望台からは広島の街並みが一望できます。
道路を隔てて向かいにあった旧広島市民球場跡は、この春に飲食エリアやイベント広場もある市民公園『ひろしまゲートパーク』としてオープンし、市民の憩いの場となっています。パーク内にはかつての球場の名残やカープの栄光も随所に刻まれています。
広電は、電停に名づけられている「町」の“まち”と“ちょう”の読み方にも注意が必要です。この本線でも「猿猴橋町」「的場町」「銀山町(かなやまちょう)」「胡町」「紙屋町東」「紙屋町西」「本川町」「小網町」「天満町」「福島町」は“ちょう”、一方で「稲荷町」「立町」「十日市町」「観音町」「西観音町」は“まち”と読み分けます。
川幅の広い太田川放水路を渡ると、本線区間の終点「広電西広島」に到着。ここでJRの山陽本線・西広島駅と接続します。このあと私の乗った電車は路面から専用軌道の宮島線に入り、日本三景の1つ、宮島の最寄り駅「広電宮島口」に向かいます。