旧優生保護法・第3次兵庫訴訟 神戸の原告女性「強制不妊手術 秘した30年、つらかった」神戸地裁 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

旧優生保護法・第3次兵庫訴訟 神戸の原告女性「強制不妊手術 秘した30年、つらかった」神戸地裁

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 旧優生保護法(1948~1996 年)のもとで不妊手術を強制されたのは憲法違反だったとして、兵庫県内の聴覚障がい者の女性2人が2023年3月、損害賠償を求めて新たに提訴し(第3次兵庫訴訟)、7月11日、 第1回口頭弁論が神戸地裁で開かれた。

 旧優生保護法をめぐっては、2018年1月以降、現在までに38人(うち5人が死亡)の被害者が、国を相手に全国12の地裁・支部に提訴している。 地裁・高裁判決の16件のうち、国に賠償を命じたのは7件あった。国はすべてで控訴・上告している。

 兵庫県内では、夫婦2組と先天性脳性まひのある女性の計5人(このうち2人は提訴後に死去)が、国を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、 2021年8月の一審・神戸地裁判決は、旧優生保護法を違憲とした上で女性らの請求を棄却したが、今年(2023年)3月の二審・大阪高裁判決は国に賠償を命じた。国側はこれを不服とし、最高裁に上告した。

 2人はそれぞれ、3300万円の賠償を請求している。

■「過去は帰ってこない、だた過去を見直すことはできる」

旧優生保護法・第3次兵庫訴訟 原告の女性ら<2023年7月11日午後 神戸市中央区>

 神戸市内の女性は、幼少期にはしかに罹患し、高熱が出た影響で聴覚障がいとなった。聴覚障がいがある夫との結婚に両親は反対、駆け落ち同然で逃げたという。
 1990(平成2)年に第2子を出産した後、何の説明がないまま不妊手術をさせられ、第3子の出産を諦めた。
この女性は法廷で「誰にも相談できず、手術を受けて30年間黙っていた。国は(私たち聴覚障がい者を)差別し、傷つけた。本当に苦しい思いを強いられた。裁判所は正しい判断を」と訴えた。

 さらに代理人弁護士が「旧優生保護法問題は終わっていない。過去は帰ってこない。過去をやり直すこともできない。しかし、過去を見直すことはできる」と述べた。

「裁判所は正しい判断を」神戸市の女性は訴える
兵庫県内に住む原告の女性 弁護団は「”優生思想”に基づく偏見差別が渦巻く日本社会で裁判を起こせなかった」と訴える

 この女性は、これまでの訴訟の経緯を知り、自分も被害者だと気付いた。そして、「障がい者として差別を受けてきたことを、今までは仕方がないことだと諦めていたが、これから始まる長い裁判、負けずに頑張りたい」と話している。
 もう1人は兵庫県内在住の女性で、先天性の聴覚障がいがあった。1981(昭和56)年、第1子出産時に不妊手術を受けさせられたという。
 第3次兵庫訴訟、第2回口頭弁論は2023年10月に予定されている。

原告らによる集会はオンラインでも中継された 第1次兵庫訴訟の男性(妻は控訴審を前に死去)も駆け付けた
原告らへの激励と、旧優生保護法問題に対するメッセージも寄せられた
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