以降、さまざまなペナントが作られましたが、なかでも最も売れたのは1970年に発売された日本万国博覧会、通称大阪万博の記念ペナントでした。
―――なぜそれほど人気が出たのでしょうか?
【間さん】 当時は今のようにカメラなどが普及していない時代です。そんななか、旅先の風景などが描かれたペナントは、思い出を残すアイテムとしてぴったりだったのだと思います。また、「手軽に買えるように」という父の考えにより、1枚200円という非常に安い価格で販売していました。そのため、特に修学旅行生なんかはみんなが買って帰るほど「旅行に行ったら記念にペナントを」という考えが定着したのだと思います。
―――その後の売れ行きは?
【間さん】 人気は1990年代まで続きました。しかし、1990年代半ばに携帯電話が普及し始め、さらにはお土産のライバルとして台頭してきた「ご当地ストラップ」が大人気に。ストラップ人気の高まりとカメラの普及が重なり、お土産屋さんからだんだん姿を消していきました。
―――最近の状況は?
【間さん】 11年前の2012年、東京スカイツリーの開業記念ペナントを作ったのが最後です。現在、北海道にペナントを作っている企業があると聞いていますが、日本ではもうその企業ぐらいではないかと思います。今後当社として製作の予定はありませんが、2025年には大阪万博があるので、もう一度万博の記念ペナントを作るチャンスがあればいいなと少し期待しています。
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昭和の時代、日本全国にあふれていたお土産用ペナント。その誕生の裏には、若き社長の社運を賭けた挑戦がありました。
あのとき買った思い出のペナント。皆さんの自宅の押し入れの奥にも、まだ眠っているのではないでしょうか?
※画像提供:“お土産ペナント収集家” 北澤 靖
※ラジオ関西『Clip』2023年7月20日放送回より
(取材・文=藤田慶仁)