奈良県民の超メジャー待ち合わせスポット→ “お坊さんの像” なぜ? 奈良市「仏教精神を元にした」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

奈良県民の超メジャー待ち合わせスポット→ “お坊さんの像” なぜ? 奈良市「仏教精神を元にした」

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 東京・渋谷駅の「ハチ公」や大阪・梅田駅の「ビッグマン」など、日本全国どの地域にもたいがい“有名な待ち合わせスポット”というものがあります。

 奈良県民にとって馴染みのある待ち合わせスポットといえば、近鉄奈良駅の広場にある「行基像」でしょう。とりあえず「行基像前で!」と伝えておけば、細かい説明などなくても会えてしまう定番の目印なのです。さて、行基像はどうして駅前にあり、いつから立っているのでしょうか。奈良市・観光戦略課の担当者に尋ねてみました。

噴水の上に立つ「行基像」は、待ち合わせの場所として有名(イメージ)

 河内国大鳥郡(現大阪府堺市)に生まれた行基(668年~749年)。15歳で出家して以来、身分を問わず多くの人々に仏教の教えを説いてきました。橋や船などを作る公共事業や日本各地の寺院を開基するなど、数々の功績を残しましたが、やはり有名なのは大仏造立への尽力でしょう。

 東大寺に鎮座する「盧舎那仏坐像(るしゃなぶつざぞう)」といえば、現在では「奈良の大仏さん」と親しまれ奈良県民のみならず関西人にとって大きな存在です。聖武天皇に命じられた行基はこの大仏像を造立するため、寄付や人材・材木集めのため奔走したと伝えられています。

奈良の大仏さんで親しまれる、東大寺の「盧舎那仏坐像(るしゃなぶつざぞう)」

 行基の没後、時は流れ1970年(昭和45)3月。当時の奈良市長・鍵田忠三郎氏が近鉄奈良駅の広場に行基像を設置しました。

「かつて平城京は、仏や菩薩がこの世で迷っているすべての生き物を苦しみから救い出し、悟りの世界へ導くことを意味する『衆生済度』という仏教精神のもと建都されました。その精神を実践した行基菩薩をシンボルにすることで『心の通う駅前広場を作りたい』という鍵田氏による思いが込められています」(奈良市)

地元の人々だけでなく、多くの観光客も利用する近鉄奈良駅(イメージ)

 そして、近鉄奈良駅の地下乗り入れ工事が完成した際、市が近鉄側に鉄道用地の一部使用を申し入れ「近鉄奈良駅前再開発事業」の完成記念にあわせて、行基像が設置されました。ちなみに、現在の行基像は3代目にあたるそうです。

「当初、像は奈良伝統の焼き物『赤膚焼』で造られましたが、1981年(昭和61)に何者かによって破壊されてしまいます。2代目を再び赤膚焼で造りますが、残念ながら風雨により劣化。1995年(平成7)、3代目を堅牢なブロンズ製で作成し今に至ります」(奈良市)

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