一三が死去して3年後のことだったが、一三が提唱していた“家庭本位”の理念を表現するに最適のネーミングだった。
宝塚ファミリーランドは2003(平成15)年4月に閉園する。その2年前に大型アミューズメントパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市此花区)が開業し、少子化、レジャーの多様化などが大きく影響した。
しかし、常にその中心的存在だった宝塚歌劇は来年(2024年)、創立110周年を迎え、「宝塚」のブランドと存在感はいつまでも人々の胸に刻まれている。
逸翁美術館の正木喜勝・学芸員によると、「1910年代から50年代のポスターが体系的に残されているのは、非常に珍しい」という。
そして、「小林一三は実業家、というイメージが強いが、その根本に文学を愛する、たしなむという素養があったことに注目してほしい。また、近代日本の生活様式が変わり、『こんなものが見たい、こんな場所があれば』という人々のニーズをうまくキャッチしていたことも。そうして、『宝塚』という地に込めた一三の思いを知っていただければ」と話す。