4日、尼崎女性センター・トレピエ(兵庫県尼崎市)で、「働く人のためのゲートキーパー講座」が開催されました。
ゲートキーパーとは、悩んでいる人に気付いて声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげる人のこと。職業ではなく、資格も必要ありません。誰もが担えると言える役割です。
今回講師を務めたのは、NPO法人ゲートキーパー支援センターの竹内志津香理事長です。竹内さんは、「自分にできる範囲で構わない。自分にできないことはできる人につなげて、助けが必要な人をみんなで支えるようになればいい」と話します。
しかし、「誰もが担える」役割と言っても、悩みを抱える人にどのように声をかければいいのか? どのようにして話を聞けばいいのか? どこにつなげればいいのか? など、分からない人も多いでしょう。今講座では、“働く人”のゲートキーパーをテーマに、適切な対応や控えた方がいい対応、傾聴の方法、緊急時のつなぎ方などを、ロールプレイによる実践を交えながら学ぶことができました。
たとえば、ゲートキーパーとしての話の聞き方は「普段とは異なる特殊なもの」だと竹内さんは言います。避けるべき具体的なポイントとして、4つが挙げられます。
(1)安易な励まし(「元気出して」「頑張って」など)
(2)うつを軽視する、経験談を持ち出す(「誰でも気分が落ち込むことがある」など)
(3)相手を否定する
(4)気を遣いすぎる
これらの対応は、悩みを抱える人をかえって傷つけてしまう可能性があるとのこと。竹内さんによると、聞き手側はまずは話さずに、うなずきやあいづち、相手の言葉を繰り返すことで、しっかりと話を聞いている姿勢を示すことが大切なのだそう。
そして「最後に、(対象者と)話ができて良かったと伝えることも重要」と竹内さんは話しました。
講座の参加者からは、「今まで相手を励ましたり否定してしまっていたりしたと、すごく反省した。とても勉強になったので、今回参加して本当に良かったと思う」「実際にそのような状況に出会った時にうまく(対応)できるか分からないけれど、こうして深く考える機会があるのはとても良いことだと思う」との声が聞かれました。
一方で、竹内さんは、ゲートキーパー自身の心も大切にしなければならないと話しました。悩みを抱える人の話を聞くうちにストレスが重なると、聞く側も心が疲れてしまいます。その状態を放置すると、疲れが取れなかったりイライラしたりして、人の気持ちに寄り添えなくなる「共感疲労」という状態に陥るのだそうです。