近年の食生活の欧米化から、偏食になっている人も少なくないと見られます。また、子どもの成長過程で、食わず嫌いや偏食に親として悩むこともあるでしょう。今回は、偏食がちの人が簡単に取り入れられる食事法を、野菜ソムリエの佐藤智子さんに聞きました。
――偏食が気になる人にオススメの簡単な調理法や野菜の選別方法などはありますか?
■野菜
・輪切りと千切りなど、切り方だけでも味は変わります。今の季節であれば、お漬物で摂取すると発酵食品としてお野菜を取り入れることができます。
・スープにするとたくさんの種類が一度に摂れてお子様にも食べやすく、また離乳食にもなるので、赤ちゃんから大人まで活用できますよ。スープ生活を基本にしておくと、それだけで栄養素が摂れる生活になります。
■お米
炊くときに「にがり」を入れて炊飯すると、簡単にミネラル豊富なご飯ができあがります。
■調味料選び
甘みをつけるときに、お砂糖ではなく甘酒(アルコール成分なし)を使うと、コクも甘みもつき、調味料の調整にもなります。
■食材選び
・アミノ酸スコア100(※)の食材と言われているのが、鮭と卵です。特に卵は、健康な人であれば、1日1個という決まりはないので、適量を積極的に摂取すると良いですね。
※必須アミノ酸が、人間の身体にとって望ましい量に対してどれくらいの割合で含まれているかを示す指標。この値が高いほど良質なたんぱく質とされる(参考:厚生労働省ホームページ)
・食材を選ぶ際に、土の中になっているもの=体を温める、土の外になっているもの=体を冷やすと覚えておくと役立ちます。
――偏食気味の大人が心がけると良いことは?
やはりお野菜を多めに摂ることですね。どうしても不足しがちなビタミン・ミネラルを摂り切れない場合には、サプリメント(粉末)を活用するのも一つの手です。
ベストなのは、お野菜を買って自炊していただくことですが、お忙しい場合は冷凍みかんやドライフルーツ、ナッツなどをお菓子代わりにしたり、食物繊維も水溶性(海藻類など)と不溶性(大豆やきのこ類など)を意識して摂取したり、ヨーグルトを取り入れたり、サラダ油をごま油や米油などの上質な油に変えたりと、できるところから少しずつ進めていくことが大切です。
―――これから食生活改善を目指す人にひと言。
習慣化するまでが大変。それまでは、コンビニ食や外食であっても少しでも意識してビタミン・ミネラルを摂取していくことが大切です。また、食は人間の楽しみの一つなので、“目からも食べる”(見た目も楽しむ)こと。そして、楽しくおいしく食べるには心も元気に。
まずは、今まで食べていなかったものにも目を向けて、1週間から1ヶ月ほどの間に少しでも摂取できていればOKくらいの気持ちでスタートすると良いでしょう。
(取材・文=中村悠)