―――型板ガラスが衰退しはじめた時期は?
【古舘さん】 衰退しはじめたのは昭和の終わりごろからで、昭和50年代には生産数も少なくなっていたようです。これは住宅の様式が和風から洋風へとシフトチェンジしていったこと、ガラスの耐久力などを重視した高機能化などが原因だと考えられています。
同時期に量産されることもなくなりましたが、それまでに建てられた家では引き続き使われていた。そのため、昔ながらの住宅では今も必ずどこかで使われているし、若い人でも見たことがあるのかもしれないですね。
―――昭和ガラスをリメイクし始めたきっかけは?
【古舘さん】 父からガラス屋を継いだのですが、父は昔ながらの昭和ガラスを何百枚も保管していたんです。捨てようとしていたけれど引き留めたり、阪神・淡路大震災に被災したりもしたのですが、現在に至るまで保存されていたのは本当に奇跡的でした。
保存されているガラスを見て種類の多さに驚きつつも、「日本独自の文化であるガラスを使ってなにかできないか」と思ったのがきっかけ。それから試行錯誤し、型板ガラスを使ったお皿を作りました。2020年にこのお皿をTwitterに投稿したところ反響がすごくて、今も製造を続けています。若い人からは「きれい」「かわいらしい」、年配の方からは「懐かしい」と思ってもらえているようです。
―――どんな人が購入する?
【古舘さん】 幅広い層から購入してもらっていますが、やはり年配の女性が多いです。20代以上の若い女性も購入してくださっています。
―――人気の商品は?
【古舘さん】 お皿やランプシェードなどを作っているのですが、特に人気なのが「銀河」と呼ばれる柄のガラスを使ったお皿です。ほかに、「祖父母の家を解体することになったのでなにか思い出に残しておきたい」と、自宅から持ってこられた型板ガラスをお皿にすることも多いです。
☆☆☆☆☆
「昭和ガラスのデザインは改めて見ると非常にきれいで、日本独自の文化」と語る、古舘さん。さらに、「日本独自のガラスはもちろん、海外の住宅で使われていたような世界各国独自の窓ガラスを使ってお皿やランプシェードを作っていきたい」と今後の展望も明かしました。
高度経済成長期という時代に、人々の遊び心から生まれた昭和ガラス。懐かしのデザインを見て、子ども時代を思い出してみてはいかがでしょうか。
※ラジオ関西『Clip』2023年8月17日放送回より
(取材・文=濱田象太朗)