カルシウムやたんぱく質が豊富で、毎朝の食卓や給食に欠かせない「牛乳」。ふつう、コンビニやスーパーで買う牛乳は1リットルや500ミリリットルなどキリのいい数値の容量であることがほとんど。しかし、沖縄で製造・販売されている牛乳は、容量が異なるそうなのです。
そこで、石垣島で乳業を営み「日本最南端の乳業メーカー」として知られる株式会社八重山ゲンキ乳業(沖縄県石垣市)に話を聞いてみると、「たしかに沖縄では、現在も1リットルではなく946ミリリットルで販売されております」という回答が。
「これは、戦後、沖縄がアメリカ統治下にあった時代に使用していた『ガロン』の名残です。ガロンとは、アメリカで一般的に使用されている単位『米国液量ガロン』のことで、1ガロンが約3.785411784リットルとなります。これを1リットルに近いサイズに換算し、1/4ガロンを946ミリリットルとして販売しています」(八重山ゲンキ乳業)
飲料がガロン単位で販売されている背景には、沖縄が1972年(昭和47年)に本土復帰するまでアメリカの施政権下だったことが影響しています。そのため、1957年創業の同社が販売している牛乳パックにも、たしかに「946ミリリットル」という数字がプリントされていました。また、コンビニなどで購入できるお手軽サイズの牛乳パックもガロン単位に設定されているそうです。
「本州の500ミリリットルに近いサイズも、同じくガロン単位で販売されています。こちらは1/8ガロンで473ミリリットル。さらに沖縄の一部エリアでは、250ミリリットルに近いサイズとして、1/16ガロン(237ミリリットル)のパックも流通しております。弊社も237ミリリットルパックにて牛乳を製造・販売しています。例外は学校や保育園の給食に出てくるミニサイズのジュースや牛乳で、本州と同じ200ミリリットルや180ミリリットルサイズの商品が使用されています」(八重山ゲンキ乳業)
また、牛乳だけでなく、沖縄で製造されている紙パック飲料の多くはガロン換算で販売されております。加工乳や乳飲料、ジュースやお茶など清涼飲料なども946mlとなっているとのこと。
ちなみに、内容量の規格以外は本州と同じルール・基準で製造されており、特に成分が大きく異なっているわけではないそうです。