映画「国葬の日」9・27から1年経ち公開「忖度なく、あの日の日本を見たくて」 大島新・監督に聞く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

映画「国葬の日」9・27から1年経ち公開「忖度なく、あの日の日本を見たくて」 大島新・監督に聞く

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 「実は、出来上がりを観て困惑しているんですよ」。ドキュメンタリー作家・大島新監督は、ラジオ関西の取材に対し、こう切り出した。

 2022年9月27日。安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)が日本武道館(東京都千代田区)で執り行われた。あの日から1年を前に、大島監督がこの日に焦点を当てた映画「国葬の日」の公開が全国で始まった。

奈良・三笠霊園の献花台<2023年7月8日>

 国葬の是非をめぐって、日本の議論は二分化した。厳密にいえば、メディア各社の世論調査ではおおむね、賛成4割・反対6割だった。
 大島監督は、反対派の本音として、「日本人の多くは、少数派の側にいたくないと感じていたからではないか」と思っていた。実のところ、日本人は国葬や、安倍元首相についてどう思っているのかを知りたかった。そこでカメラを回すことにした。

取材に応じる大島新監督「日本人が国葬や安倍元首相について、どう思っているのか知りたかった」<2023年9月5日 大阪市内>

 ドキュメンタリーにはいろいろな手法があるが、大島監督は「国葬の日」に関しては、“スケッチ”に徹した。脚色なし、演出なし、忖度なし。
 2022年9月27日という“一日勝負”。全国でさまざまなシーンを撮るが、思想・信条とは関わりなく声を聞く、また、そこで起きている日常を、国葬と関係なくとらえる。客観的な目線を意識して、カメラはあえて引き気味に構えた。

 ドキュメンタリーを長期間にわたって映像化するには、被写体(取材対象となる人物)との関係性も鑑みて、映しこんでいくスタイルもあるが、大島監督は「その手法は、ストーリーを作ってしまう」と話す。確かに、ストーリー性を持たせれば、わかりやすく、場合によってはカタルシス(うっ積した感情が解放される)が得られるかもしれない。しかし、映画「国葬の日」では、ひたすらスケッチに徹した。

 メディア側の観点では、もとから期待する答えを想定していて、そこに当てはめていくスタイルから逃れられない部分があるが、大島監督は材料を提供して、観た人が感想を持ち、何を考えたかによって映画が完成するという作品を目指した。


■「『国葬の日』本予告編


【映画「国葬の日」WEBサイト】


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