◆鉄アナ・羽川英樹「行ってきました!」
JR紀勢本線は、和歌山市から紀伊半島を半周して三重県の亀山まで384.2キロメートルの営業距離を持つ、長大な路線です。このうち和歌山市~新宮間はJR西日本の管轄で電化区間、新宮~亀山間はJR東海の管轄で非電化区間となっているため、全線通しの列車は存在しません。
JR西日本の和歌山~新宮間は「きのくに線」の愛称をもちますが、今回はそのうちの和歌山~御坊間の54キロを取り上げます。
各方面への起点となる和歌山駅は、大阪方面に向かう阪和線、粉河・橋本方面への和歌山線、そして和歌山市駅に向かう紀和線、さらには「たま電車」でおなじみの和歌山電鐵も乗り入れています。
和歌山~御坊間の沿線にはいろんな見どころが潜んでいるので、今回は特急ではなく、のんびり4両編成の普通列車で御坊までの旅を楽しみます。
春は花見で賑わう「紀三井寺」は、奈良時代の創建で西国二番札所として多くの参拝客が訪れます。結縁厄除坂の231段の石段を登ると本堂に到着。近畿に春を告げる「早咲き桜」の標準木もここにあります。
「黒江」は、甲子園常連の智弁和歌山高校の最寄り駅でもあり、「紀州漆器の里」と呼ばれています。紀州徳川家に保護され、江戸時代に漆器で栄えた町家群はその面影をしっかりと残しています。また、伝統産業館では漆器の展示販売も行われ、蒔絵体験もできるんです。