2023年、弘法大師・空海が東寺(京都市南区・教王護国寺)で真言宗を立教開宗して1200年を迎えた。
794年の平安京遷都後、東寺は大極殿や西寺とともに創建された。そして823年、嵯峨天皇は、唐で密教を学んだ弘法大師・空海に東寺を下賜された。ここに、日本で初めての密教寺院が誕生する。
空海は東寺を真言密教の根本道場として整え、東寺から密教を発信していった。一方、高野山は816年に、同じく嵯峨天皇から空海に下賜され、修行の地と位置付けられている。
世界文化遺産・東寺では10月8日(日)~14日(土)まで、境内の金堂、講堂、五重塔、御影堂で「立教開宗1200年慶讃大法会」が開かれる。
これを記念した特別拝観「東寺のすべて」(10月9日~31日)では、国宝「両界曼荼羅図(伝真言院曼荼羅)」や、空海が最澄にあてた手紙・国宝「弘法大師大尉尺牘(風信帖)」の公開(いずれも宝物館 ~11月25日)、土門拳東寺写真展(食堂 じきどう)などが企画されている。
そして、通常は非公開の灌頂院(かんじょういん)で、現代アーティスト小松美羽氏の大作「ネクストマンダラ-大調和」を特別公開する。
灌頂院では毎年1月、真言宗の最高の儀式で、鎮護国家・五穀豊穣を祈祷する「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」が行われる。
■すべては一体に…両界曼荼羅に込めた思い
「ネクストマンダラ ー 大調和」は後七日御修法で用いられる両界曼荼羅(元禄本・重要文化財)とほぼ同じ、縦横4メートルの二幅一対で描かれたもので、儀式が行われる灌頂院の空間構成を再現した。
小松氏は「2つの(両界)曼荼羅に、すべては一体になるという想いを込めている」と話す。