毎年10月下旬から11月にかけて色づきはじめる銀杏(イチョウ)。扇形の小さな葉や黄色の華やかな色合いがかわいらしい木です。このイチョウから採れる“ぎんなん”も、秋の味覚としておなじみですよね。
さて、このイチョウが実は熊本と深い結びつきがあることをご存知でしょうか。その影響もあってか、熊本市内ではぎんなんを使った料理が多い……という噂もあるほど。実際に、熊本のランドマーク「熊本城」には見事な大イチョウが鎮座しています。なぜ熊本とイチョウは関係が深いのか「熊本城総合事務所」(所在地:熊本市中央区)に真相を聞いてみました。
「熊本城は別名『銀杏城』と呼ばれています。天守前にあるイチョウが、初代城主・加藤清正の手によって植えられたと伝わっていることが由来です」(熊本城総合事務所)
豊臣秀吉や徳川家康に仕え、熊本藩(肥後藩)の初代藩主として一帯を治めていた戦国武将・加藤清正。当時の技術を注ぎ込み完成した熊本城に清正自らが植えたとされており、この伝説が熊本で広く伝わっていることから「銀杏城」という別名が生まれたそう。「現在、市として公式に『銀杏城』と呼ぶことはありませんが、市民の間では広く浸透しているようです。1974(昭和49)年には市民の募集によって『市木』にも制定されました。イチョウ自体、市民から親しまれていることがうかがえますね」と同事務所。
市内にはイチョウスポットも点在。先述した熊本城の大イチョウだけでなく、「下田のイチョウ」も有名です。旧家・下田家の庭にあるイチョウは、樹齢約700年・高さ21メートル・幹周りがメートルという巨木。なんと国指定天然記念物でもあります。さらに、熊本県庁のメイン門にあたる「熊本県庁プロムナード」のイチョウ並木は若者にデートスポットとして人気で、秋シーズンには期間限定ライトアップもされます。散策やデートにくわえ、写真撮影や写生に訪れる人も多いといいます。
取材の最後に「熊本にはぎんなん料理が多い」という噂の真偽について聞いてみたところ次のような回答が。
「特にそのような印象はありません。串焼きや茶わん蒸しの具として使われている程度のイメージですね笑」(熊本城総合事務所)
(取材・文=つちだ四郎)
◆熊本城総合事務所
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熊本城 公式サイト