神戸市北区の路上で2010年10月、堤将太さん(当時16歳・高校2年)を殺害したとして、殺人罪に問われた元少年(30・事件当時17歳 記事中では「男」と表記)に対し、神戸地裁が「損害賠償命令制度」に基づき、計約9300万円の賠償を命じる決定をしたことが、遺族の代理人への取材でわかった。10月24日付。
「損害賠償命令制度」は、刑事裁判で有罪判決を言い渡した裁判所が、引き続き損害賠償請求についての審理も行い、加害者(被告)に損害賠償を命じることができるという制度。刑事裁判での記録がそのまま審理の資料となる。
民事裁判とは異なり、犯罪被害者支援の一環として当事者のみで(非公開)開かれる。
将太さんの遺族らは2023年6月に開かれた刑事裁判の審理の際、神戸地裁に約1億2000万円を求めて申し立てていた。
神戸地裁は決定で、将太さんが事件当時、高校生であり、卒業後の進路を考え始めていた点に着目。「逸失利益(いっしつりえき)」という、事件がなければ将太さんが一定の年齢まで得られたであろう収入額の合計や慰謝料などを算定した。
男は懲役18年とした1審・神戸地裁の裁判員裁判判決を不服とし、大阪高裁に控訴している。
今回の決定に対して加害者側に異議申し立てがあれば、あらためて民事裁判として審理することになる。