フィールドパビリオンで播州織のものづくり 伝統と自然を守る持続可能な取り組みを体験! | ラジトピ ラジオ関西トピックス

フィールドパビリオンで播州織のものづくり 伝統と自然を守る持続可能な取り組みを体験! 

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 2025年の大阪・関西万博開催に合わせて、兵庫県で展開されている『ひょうごフィールドパビリオン』。SDGsの取り組みが行なわれている県内の現場(フィールド)を訪れ、見て、学んで、体験できるプログラムを発信しています。その一環として、「播州織」の魅力を間近に感じ、生地づくりから出来上がりまでの工程を見学できるプログラムが実施されています。

年季の入った織機からは手織りのような肌触りの生地が生まれる(提供:有限会社玉木新雌)
年季の入った織機からは手織りのような肌触りの生地が生まれる(提供:有限会社玉木新雌)

 デザイナーの玉木新雌(にいめ)さんは、この播州織をベースに一点モノの作品を西脇市内で生み出しています。詳しく話を聞きました。

◆播州織とは

 播州織は、兵庫県の北播磨地域(西脇市・多可町・加西市・加東市)で生産される綿織物のこと。先に糸を染め上げ、その糸で柄を織る“先染め”が特徴です。産地の北播地域は自然が豊かで、先染めするための水資源が豊富なうえ、水質も染色に適した軟水。それが発色の良さにもつながっているそう。世界的ハイブランドからもオーダーが入るほど、高品質な織物なのです。

 玉木さんが発信するブランド『tamaki niime』の代表作はショールです。独特の柔らかさと肌触りには驚く人も多いのだとか。

 実はこのショール、偶然が重なって誕生したものだそうです。「開発する中で、柔らかすぎてシャツを作るには難しいほどの生地ができました。それをなにげなく首に巻いてみると、すっと体にすっとなじんで気持ちがよかったんです。『これは巻きものにすると良いのではないか』と思い、そこからできあがりました」と玉木さん。

 工房では、今では使われることが少なくなった1960年代の力織機や、1980年代製のレピア織機を使用。年季の入ったこれらの織機を独自仕様に改造することで、生産性を重視した最新の高速織機では再現できない生地を生み出せるように。できる限り緩くゆっくりと織っていくことで、手織りのような肌触りや、空気をまとったようなふんわりとした生地になるといいます。

工程の最後は天日干し。お日様に当てて空気を含ませると風合いがぐんと増すそう(提供:有限会社玉木新雌)
工程の最後は天日干し。お日様に当てて空気を含ませると風合いがぐんと増すそう(提供:有限会社玉木新雌)

 プログラムでは、その工房内に足を踏み入れることができます。同社では、綿花の栽培からデザイン、機織り、作品化、販売まで一貫しておこなっているため、完成までの全工程を間近で見られるのが特徴です。他にも、縫製加工の体験型ワークショップとして、ショールの縫製やカット、タグ付け、綿花の収穫といった“ものづくり”にも触れられます。

「Lab」(工房)では、作品完成までこ工程全体を間近で見られる(提供:有限会社玉木新雌)
「Lab」(工房)では、作品完成までこ工程全体を間近で見られる(提供:有限会社玉木新雌)

◆プログラムに込めた想い

 播州織は、200年以上の歴史と伝統を誇る西脇市を代表する地場産業ですが、その生産量はピーク時に比べて減少傾向にあるといいます。そのため、次世代に伝える取り組みや担い手の育成は重要な課題です。玉木さんは「私たちの作品を通して、ものづくりの楽しさや次の世代へ伝える大切さを提供したい」と話します。

 玉木さんは、暮らしにあるもの全てがものづくりにつながると捉えているそう。だからこそ、ものづくりが環境に与える影響についても考え、コットンや野菜、米などの農薬不使用栽培など、織物以外の取り組みもおこなっています。同プログラムには、現場を実際に見て、ものづくりの原点を考えるきっかけにしてほしいとの想いが込められています。

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