英国・テート美術館のコレクションから「光」をテーマに18世紀~現代までの作品を選び、約200年にわたる光の表現方法を紹介する展覧会「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」が大阪中之島美術館(大阪市北区)で開かれている。2024年1月14日(日)まで。
同展は2021年から中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを巡回。東京を経て、これまでに90万人以上が観覧した。大阪が最終開催地となる。絵画、写真、素描、インスタレーションなど約120点(うち100点が日本初出品)の多様なアートがテーマごとに分けられ、相互に呼応するように作品が展示されている。
会場は「光と闇によって宗教的主題を表現」や「19世紀イギリス社会の劇的な変化」、「室内環境における、日常にありふれた光の表現」「電灯の発明と普及」などをタイトルとし、16室で構成。
前半は「光の画家」と呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775~1851年)の「陽光の中に立つ天使」(1846年出品)や「光と色彩(ゲーテの理論)――大洪水の翌朝――創世記を書くモーセ」(1843年出品)、風景画で名高いジョン・コンスタブル(1776~1837年)の「ハリッジ灯台」(1820年出品?)などの傑作が並ぶ。
クロード・モネ(1840~1926年)をはじめとした印象派の画家たちは、きらめきが自然や景色に溶け合うような独特の表現で光の存在を示した。一方、ウィリアム・ローゼンスタイン(1872~1945年)の「母と子」(1903年)は、部屋の中を照らす柔らかな陽光によって、親子の温かい情愛がにじみ、ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864~1916年)の「室内」(1899年)は、淡い光で室全体の冷たい空気を伝えている。
そのほか、光に対して科学的な関心を抱き、実験的な芸術表現を重ねたカメラマンたちの写真作品や、幾何学的な形態を用いて光と色の関係を探ったデザイン画、現代アーティストが手掛けた斬新なインスタレーションなども。天井から吊り下げられ、ゆっくりと回転するガラスの球体作品「星くずの素粒子」(2014年、オラファー・エリアソン[1967~]作)は神秘的な美しさをたたえながら時折、鮮やかな閃光(せんこう)を放ち、鑑賞者に時を忘れさせる。