美術館というと、声を出すのを憚ることが多いが、「どうなってんねん?」というつぶやきが会場のあちらこちらから聞こえてくる。ベテランから若手まで日本を代表する女性切り絵作家7人の作品を集めた特別展「日本の切り絵 7人のミューズ」が、神戸ファッション美術館で開催されている。2024年1月28日(日)まで。
会場には1枚の紙から切り出されたとは思えないほどの緻密な「切り絵作品」105点が並ぶ。平面的なものもあれば立体作品もある。日本を代表する女性切り絵作家7人の代表作や新作だ。
手芸のレース編みのような作品を生み出す蒼山日菜さん。一番細い部分は0.3ミリほどと髪の毛ぐらいの細い線を、はさみ1本で「描きだす」。企業などとのコラボレーションも多い。18世紀のフランスの哲学者ヴォルテールの小説の一部を題材にした作品『Voltaire』は、1行半を切り出すのに5時間かかったという。
1枚の紙を、下絵のない状態からデザインカッターで切り出し、切り出すだけではなく裂いたり折ったり球を作ったりして、時には焼いたりして作品を生み出すSouMaさん。その立体的な作品は切り絵とは思えない。
筑紫ゆうなさんは、ポップアートのような作品を制作する。白い紙からパーツを切り出して絵の具や色鉛筆で着色しコラージュして重ねる。動物を擬人化したものが多く、「それぞれが靴を履いており、どんな靴を履いているのかを見るのも楽しい」と神戸ファッション美術館の西山桂子さんは話す。