サッカー・J1のヴィッセル神戸で2005年～2017年まで13年にわたってプレーした田中英雄氏が、ラジオ関西で放送されたヴィッセルJ1初優勝特別番組『GOGO！ヴィッセル神戸～J1初優勝スペシャル～』にゲスト出演。番組パーソナリティーの芥田愛菜美とともに、愛着あるクラブの悲願達成への思いや、これまでつづってきたクラブの歴史などについて語り合いました。
【芥田】 選手として所属していたチームがJ1リーグ戦を初優勝したことについて、どういう思いでしたか？
【田中】 これが、自分でも思っていなかったような、 想像できない感情が出てきたのが、すごく自分でも不思議でした。いろんな選手、スタッフ、サポーター、そして、これまで29年間にわたって関わってくれた人たちの思いが、今年、集大成として実ったように思います。優勝した後、何かいろいろと考えていたのですが、言葉で表現すると、“紡（つむ）ぎ合わせる”かなと。その言葉が、自分の中でふと落ちてきましたね。
いろんな人が紡ぎ合わせた結果が最終的に優勝になった。でも、そういう思いが（クラブを離れた）自分に出るとは思わなくて、（ただ）「優勝良かったな」となると思っていたのですが、いろんなシーンなどフラッシュバックのように出てきて、いろんな人の気持ちがわき上がってきて、想像していない感情が出てきました。そうなるのは本当に自分でも想像していませんでした。
前に天皇杯をとった時みたいに「頑張ったな、みんな」「おめでとう」の感情だけかなと思ったのですが、今回は「ありがとう」「よかったね」という思いだけでなく、今までヴィッセルに関わってきた皆さんとつながれたというか、本当に不思議な感情でしたね。
【芥田】 ちょっとうるっとしてませんか？
【田中】 そう！ そんな感じになったんですよ。優勝を決めたときの試合は、お仕事で行けなかったのですが、（配信を）つないでソワソワしながら見ていました。終わった瞬間に、なんかすごく、そんな（感動的な）感じになりましたし、いま思い出してもそうなります。優勝したのは、選手、スタッフはじめ今年関わった皆さんの結果だと思いますが、それプラス、29年間のみんなの作品というか、みんなで“紡ぎ合わせた”思いがすごく実ってよかったなと、本当に思いますね。選手、スタッフ、サポーター、ファンの皆さん、神戸市民の皆さん、いろんな思いがね、想像したら……（こみあげてくる）。
【芥田】 吉田孝行監督や北本久仁衛コーチ、菅原智コーチなど、現役時代に一緒にプレーをされた方々に何か連絡はされたのでしょうか。
【田中】 いや、連絡は特にしてはいないのですが、一緒の時代を戦い抜いた選手が、監督、コーチになって、ヴィッセルで優勝するというのは、やっぱりうれしいですね。タカさん（吉田監督）、クニさん（北本コーチ）、スガさん（菅原コーチ）たちもすごくうれしいと思いますよ。
【芥田】 今年のヴィッセル神戸はずっと上位争いを繰り広げるなど、強さが目立ちました。勝因はどう思われますか？
【田中】 僕が外から客観的に見ていて感じたのは、チームとしての一体感というのは、そこはもう絶対外せない要因だったのかなと。そこはすごく感じましたね。例えばけが人が出て、急きょ若い子など、いつも出ていない選手がスタメンで出るとなったときに、今年のヴィッセルではそういう選手が結果を出したり、いいプレーをしていました。それは、日頃の練習からすごくモチベーション高くトレーニングしていないと、やっぱり（力は）出せないと思うので。そういう部分では、コーチのクニさん、スガさんとかが常に若い選手に気をかけていたり、モチベーションを保っていたんじゃないかなと、僕は勝手に想像しています。そういう意味でも、チーム力、出ている選手だけじゃなく、選手、スタッフ全体でいい状態を作れていたのかなと思いますね。
【芥田】 特に注目していた選手は？
【田中】 皆さんがよく言われている“四天王”、FW大迫勇也選手、FW武藤嘉紀選手、MF山口蛍選手、DF酒井高徳選手。この4人の存在感というのはすごく大きかったんじゃないかなと思いますね。
【芥田】 若手の成長もあった年だったんじゃないかなと思うのですが。
【田中】 それも、間違いなく外せない要因だと思います。“四天王”と言われる年齢が上の選手に、若手が刺激されて、上の選手と若手がいい相乗効果になっていたというか。それは外から見ていてもすごく感じました。特に、MF佐々木大樹選手やDF山川哲史選手のようなヴィッセルの育成組織から育ってきた選手たちがトップチームで花を咲かすというのは、1番チームとしてあるべき姿だと思うし、そういう選手が活躍して、なおかつ優勝することができた。これは今後も続けていかなきゃいけないことだとすごく思います。
