年の瀬の風物詩「終(しま)い弘法」が21日、世界文化遺産、東寺(真言宗総本山・教王護国寺 京都市南区)で開かれた。迎春を前に縁起物や食材を買い求める人々でにぎわい、境内は熱気に包まれた。
2023年、弘法大師・空海が東寺で真言宗を立教開宗して1200年を迎えた。794年の平安遷都から2年後、東寺は大極殿や西寺とともに創建された。そして823年、嵯峨天皇は、唐で密教を学んだ弘法大師・空海に東寺を下賜した。
空海は東寺を真言密教の根本道場として整え、東寺から密教の教えを発信した。一方、高野山は816年に、同じく嵯峨天皇から下賜された修行の地と位置付けられている。
“弘法大師”は、921(延喜21)年10月27日、東寺長者(住職)の奏上で、醍醐天皇から授かった諡号(しごう/おくりな)。
京の都では、弘法大師・空海のことを古くから町衆が「お大師さん」、東寺を「弘法さん」と呼ぶ。
空海の命日にあたる毎月21日、東寺の境内で骨董・古着・古道具から食材・食品などを売る露店1000店以上が所狭しと並ぶ「弘法市」は、弘法さんの日と呼ばれる。
特に12月の「終い弘法」は、1年の締めくくりで、おせち料理用の食材や松飾り、来年の干支の辰(たつ)にちなんだ小物など正月の縁起物が並ぶ。
”一服一銭”と言われる簡素な屋台で茶を商う人が現れ、江戸時代には茶店だけではなく、植木屋や薬屋なども出てくるようになった。これが現在の「弘法さん」の日の原型とされる。