師走の風物詩「終い(しま)い弘法」世界遺産・京都 東寺1200年の節目、にぎわい取り戻す | ラジトピ ラジオ関西トピックス

師走の風物詩「終い(しま)い弘法」世界遺産・京都 東寺1200年の節目、にぎわい取り戻す

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 年の瀬の風物詩「終(しま)い弘法」が21日、世界文化遺産、東寺(真言宗総本山・教王護国寺 京都市南区)で開かれた。迎春を前に縁起物や食材を買い求める人々でにぎわい、境内は熱気に包まれた。

柔らかい陽ざしのもと多くの人々でにぎわう「終い弘法」<2023年12月21日午前 京都市南区・東寺>
コロナ禍で縮小傾向にあった「終い弘法」時間帯にもよるが、全盛期の約8割の人出に

 2023年、弘法大師・空海が東寺で真言宗を立教開宗して1200年を迎えた。794年の平安遷都から2年後、東寺は大極殿や西寺とともに創建された。そして823年、嵯峨天皇は、唐で密教を学んだ弘法大師・空海に東寺を下賜した。

真言宗立教開宗1200年記念開白法会<2023年10月8日 京都市南区・東寺>
御影堂庭儀曼荼羅供 『追崇帖』(弘法大師一千百年御忌事務局、1934年)より ※画像提供・東寺
真言宗立教開宗1200年記念結願法会<2023年10月14日 東寺・御影堂>
飛鷹全隆・第257世東寺長者 真言宗立教開宗1200年記念結願法会<2023年10月14日 東寺・御影堂>

 空海は東寺を真言密教の根本道場として整え、東寺から密教の教えを発信した。一方、高野山は816年に、同じく嵯峨天皇から下賜された修行の地と位置付けられている。

 “弘法大師”は、921(延喜21)年10月27日、東寺長者(住職)の奏上で、醍醐天皇から授かった諡号(しごう/おくりな)。

 京の都では、弘法大師・空海のことを古くから町衆が「お大師さん」、東寺を「弘法さん」と呼ぶ。

 空海の命日にあたる毎月21日、東寺の境内で骨董・古着・古道具から食材・食品などを売る露店1000店以上が所狭しと並ぶ「弘法市」は、弘法さんの日と呼ばれる。

インバウンド(訪日外国人客)の姿が戻った弘法市<2023年4月21日 京都市南区・東寺>
一見、アートフラワーに見えるが すべて生花を細工

 特に12月の「終い弘法」は、1年の締めくくりで、おせち料理用の食材や松飾り、来年の干支の辰(たつ)にちなんだ小物など正月の縁起物が並ぶ。
 ”一服一銭”と言われる簡素な屋台で茶を商う人が現れ、江戸時代には茶店だけではなく、植木屋や薬屋なども出てくるようになった。これが現在の「弘法さん」の日の原型とされる。

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