筋肉組織の中に骨ができる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」と闘う兵庫県明石市在住の山本育海さん(26)と、関西の高校生たちが、治療法や新薬開発の研究のための募金を呼びかけている。
育海さんは小学3年だった8歳の時にFOPと診断された。FOPと闘う患者は、育海さんをはじめ日本に約80人、全世界で700~1000人いるという。
iPS細胞を活用した治療法に活路を見出した育海さんは、京都大学iPS細胞研究所(CiRA 京都市左京区 名誉所長・山中伸弥教授 / 所長・高橋淳教授)に自身の細胞を提供し、研究に役立ててもらおうと心に決めたのは兵庫県立明石商業高校在学時の2015年。
研究所にとって資金不足が深刻な問題だったことから、2009年に「iPS細胞研究基金」を設立、寄付を募っていた。
そこで育海さんは同級生らと「193(いくみ)募金」を始め、全額を寄付するようになった。
「193(いくみ)募金」は、FOPだけでなく、すべての難病の研究が進むようにiPS細胞研究所を支援するもの。こうした思いに、地元・明石市のみならず、神戸・大阪の多くの高校生らが募金活動に賛同し、昨年(2022年)は総額157万2521円が集まった。この年までの募金は、累計で2048万5164円にのぼる。
今年(2023年)も、育海さんが26歳の誕生日を迎えた12月14日を中心に、地元・兵庫県明石市をはじめ兵庫県、大阪府の高校や職業訓練校、計15校の生徒らが、登下校時やランチタイムなどに「193(いくみ)募金」への協力を一斉に呼び掛け、12月25日現在で45万7000円が集まった(募金活動は現在も行われており、最終集計は後日改める)。
さらに、高校生に負けじと大人たちが広く一般の方々に呼び掛けた「193O円(いくみおうえん=育海応援)募金」には、183万3137円の寄付があった。
■「僕だけじゃない、すべての難病に苦しむ人に“光”を…