“六甲おろし”を味方につけた酒づくり 兵庫県が「日本一の酒どころ」と呼ばれるワケを歴史から紐解く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

“六甲おろし”を味方につけた酒づくり 兵庫県が「日本一の酒どころ」と呼ばれるワケを歴史から紐解く

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 今や世界からも「SAKE」として注目を集めている日本の酒文化。特に質の高い酒を作り続けている産地を「酒どころ」と呼び、それは日本各地に点在しています。なかでも「日本三大酒どころ」として名高いのが兵庫県“灘”、京都府“伏見”、広島県“西条”です。

 特に灘は有名酒造メーカーが集まり、酒に関するイベントも多く開催されている関西きっての酒どころ。なぜ灘は酒どころとして名をはせるようになったのでしょうか? それには灘を含めた兵庫県の風土や日本酒の歴史に秘密があります。そこで、みりんや料理酒を中心に近年では清酒なども醸造する「キング醸造」(本社所在地:兵庫県加古郡)に話を聞いてみました。

日本の文化として注目度の高い「酒」(イメージ)

 そもそも、キング醸造の本社がある兵庫県・播磨も奈良時代に編纂された『播磨国風土記』 に日本で初めて麹を使って日本酒を造ったといわれている記述があることから「日本酒のふるさと」と伝えられている地です。

 このように日本酒と縁の深い土地である兵庫県でも特に「酒どころ」として名高い灘は、一説によると室町時代から酒造りがおこなわれていたとされています。江戸時代に入ってから多くの酒蔵が生まれ、酒文化が大きく発展したそう。明治中期からは西宮市今津から神戸市灘区大石までの沿岸部、東西約12キロメートルのエリアにある今津郷・西宮郷・魚崎郷・御影郷・西郷の5つの地区をまとめて「灘五郷」と呼ぶようになりました。

酒造りで有名な灘五郷では、一部で酒蔵見学も実施されている(イメージ)

 灘が酒どころとして栄えた理由のひとつに「水」があるといいます。

「灘で作られる水には兵庫県西宮市の南東側から出る『宮水』が使われています。六甲山を通り抜けてきた宮水は、麹や酵母の栄養分となるミネラル成分が豊富。風味を悪くする鉄分がほとんど含まれていません。そのため宮水で仕込んだ酒は夏を越しても味が落ちず、それどころか秋を迎えると趣が加わってより一層おいしくなるといわれています」(広報担当者)

 また、水以外に日本酒造りに欠かせないのが「米」。灘は、古くから米にも恵まれた地域だったそう。

「灘五郷の北に広がる六甲山の麓は、良質な米が育つ穀倉地帯として知られています。“酒造好適米の王様”と称賛される『山田錦』の産地としても有名です。古くから酒に適した米を育むのに最適な気候と土地だったのでしょう」(広報担当者)

酒造りには米と水が欠かせない(イメージ)

 灘が酒造りの場として発展したのは、原料だけでなく「海運」においても有利な土地だったことが関係しているようです。

「灘は港が近い環境のため、江戸を中心に運搬がしやすく流通が盛んな地域でした。当時、上方(当時の大阪や京都などを指す言葉)から江戸に運ばれるものは『下(くだり)』と呼ばれていました。江戸中期になると、質の高い灘の酒が江戸の人々の人気を集めるようになり『下り酒』と呼ばれるようになります。そこから『くだりもの』が高級品の代名詞となったと伝えられています」(広報担当者)

 この「くだりもの」が転じ、逆に粗悪品や取るに足らない品を「くだらないもの」と呼ぶようになったという説もあるそうで、灘の酒がいかに優れたものだったのかが伝わってきますね。

☆☆☆☆

 ちなみに、酒造りには米を蒸してすぐに冷ます工程があります。この工程にぴったりなのが、六甲山から吹きおろしてくる風。この風こそが、プロ野球チーム・阪神タイガースの球団歌でも知られる「六甲おろし」なのだそうですよ!
 
(取材・文=つちだ四郎)

◆キング醸造株式会社
675-1192
兵庫県加古郡稲美町蛸草321
電話番号 079-495-0010
キング醸造株式会社 公式サイト

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