日曜劇場『VIVANT』(TBS系)第3話で「演技がすごい!」と話題になったラクダ。地面に伏せて動かなくなるシーンには、筆者も驚きを隠せませんでした。ところでみなさんは、ラクダの”コブ”の中になにが入っているかをご存知ですか? ドラマで主人公らは、2つのコブの間にまたがってラクダに乗っていましたが、本来どのような役割を果たしているのでしょうか。また、砂漠ではどのようにして水分を蓄えているのか。神戸どうぶつ王国の飼育スタッフ・鎌田一心さんに聞きました。
ーーラクダのコブの中には何が入っているのですか? また役割についても教えてください。
【鎌田さん】 コブの中には脂肪が蓄えられています。食べ物があまりない時でも、中にある栄養を活用して生活できるようにしています。また脂肪の貯蔵に加えて、日光から内臓を守り、体内が高温になりすぎないようにする役割もあると言われています。
ーー生まれた時からコブはあるのですか?
【鎌田さん】 コブの基はあるのですが、まだ柔らかく垂れている状態で生まれます。逆に年を取ると、食が細くなり中の栄養を使うので、最終的には皮だけの状態になりベロンと背中に垂れるようなかたちになる個体が多いですね。
ーーヒトコブとフタコブの違いはなんですか?
【鎌田さん】 一番大きな違いは住んでいる場所です。進化の過程でラクダの先祖が大陸を移動し、住む場所によってヒトコブとフタコブにわかれたと言われています。
ーー水分がないような砂漠でもしばらく生きていけるラクダですが、どのようにして水分を蓄えるのでしょうか。
【鎌田さん】 水分がないと言っても、家畜動物であるラクダには基本的にトレーナーや管理する人がいて、水分を補給できるタイミングで一気に何十リットルもの水を摂取させています。その後は水分がなくならないよう自ら工夫しています。例えば、ある程度までは気温に合わせて体温を上げ、汗をかきにくくすることもできます。ほかにも、ラクダは上唇が割れているので、鼻水をそこに貯めておくなど節約しながら水分を蓄えています。
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今回の取材では、ラクダのコブに「脂肪の貯蓄」と「日光から内臓を守ること」の2つの役割があるとわかりました。さらに、体の機能を利用して水分を蓄えたり節約したりすることができるとのことです。
また今回筆者は、実際にラクダに乗せてもらいました。ゴツゴツとした印象のコブですが、触ってみると弾力があり、背中に乗った感触も柔らかかったです。背中の位置は想像以上に高いですが、ゆっくりと歩いてくれるので揺れが心地良いです。ちなみに、関西でラクダライドを体験できるのは、神戸どうぶつ王国だけとのことです。
(取材・文=坂本有伽)