コロナ禍以降における健康意識の高まりにより拡大し続けているのが、カフェインレス・ゼロ市場です。なかでもさまざまな商品展開を見せているのが、デカフェドリンク。妊婦を中心にトレンドが広がっていき、いまや性別を問わず幅広い世代から注目を浴びています。
カフェインには、眠気覚ましや集中力アップといったメリットがある反面、過剰に摂取することで不眠症や心拍数増加などのデメリットがあるのも事実。そのため、コーヒーや紅茶はもちろん、日常的に飲むお茶でもカフェイン量を気にかける流れが生まれました。
そこで脚光を浴びたのが「ルイボスティー」です。飲食店だけでなく家庭で飲む機会が増えたこともあり、2015年以降、ルイボスティーの日本の輸入量は増加しています(Rooibos Council - South Africa, 2020より)。
カフェインレスドリンクとして特に妊娠中の女性に愛飲されてきたルイボスティーですが、実は、美容効果も期待されることをご存知でしょうか? 抗酸化作用のあるポリフェノールを多く含むだけでなく、便秘解消の助けとなるマグネシウムも含まれていることから、女性を中心に流行が拡大。家庭で手軽に楽しめるティーバッグなど、幅広く商品展開されるようになりました。
またこれまでは、女性がよく飲むドリンクとのイメージが強かったところ、ステイホーム期間などを経て家庭で飲む機会が増えたことにより、男性の間でも定着の傾向に……。加えて、男性の育休制度の広がりから男性にもより多くの子育て知識が身につくようになり、「子どもも飲めるデカフェドリンク」といった意識が浸透してきたことも、ルイボスティーが広く親しまれるようになった理由のひとつに挙げられます。
あっさりとした飲み心地のルイボスティーは、こってり系料理との相性も抜群。ルイボスティーを取り扱う飲食店は多くありますが、全国的な飲食チェーンとして知られるラーメン店・一風堂では、水の代わりに提供しています。20年以上も前から取り入れているそうで、同店で提供する豚骨スープとの相性が良いことから導入しているといいます。
日本茶や紅茶、ウーロン茶とも並ぶほど一般的になってきたルイボスティーは、贈り物としても人気です。茶葉以外に、飲みやすいティーバッグタイプなどの関連商品も数多く登場しており、友人はもちろん、産休・育休に入る同僚へのギフトとしても定番化しているのだそう。
さらに気軽に楽しめるのがペットボトルタイプです。2020年以降、ペットボトル入りルイボスティー市場は拡大。近年、“ルイボスはクセがあって飲みづらい”という従来のイメージを払しょくする商品も出てきています。
たとえば最近では、同市場をけん引するサントリーが、人気商品の「GREEN DA・KA・RA やさしいルイボス」を2月27日にリニューアルしました。華やかな香りは残しつつ、打ち出したのはやはり“飲みやすさ”です。クセを理由に口にしてこなかった人にも手に取る機会を作ってもらえるよう、パッケージも、あっさりスッキリとした飲み心地である点が伝わるよう工夫したとのことでした。
ちなみに、家庭でたっぷり飲みたいという人には茶葉やティーバッグで煮出す方法がおすすめです。鍋にたっぷりの水で煮出したり、電気ポットを使用して濃いルイボスティーを作るなど、作り方はさまざま。カフェではアレンジドリンクなども数多く登場しているため、飲み比べをして自分好みの飲み方・濃さを探してみてはいかがでしょうか?
(取材・文=丸安なつみ)