内閣府の中央防災会議によると、今後30年以内に70〜80%の確率で発生するとされる南海トラフ地震が起きると、満潮時に瀬戸内海側で兵庫県の西播磨、明石、淡路島西海岸は1~2メートル、加古川、阪神地域は2~5メートルの津波が来ると想定されている。
では、どのようにして訓練すればいいのだろうか。今、自分のいる場所で地震が発生したら、どのように対処すればいいかを考えることが求められる。
日本海側で地震が発生すると震源が近いので津波はすぐに到達する可能性が高い。能登半島地震では、津波に襲われた地域の多くの人々が、地震発生直後すぐに高い場所に避難した。「地震への備え」、「津波への備え」として、ふだんから避難する訓練をしていたからである。
東日本大震災でも、岩手県釜石市の鵜住居(うのすまい)小学校や釜石東中学校に登校していた児童、生徒はすぐに避難したため全員助かり、「釜石の奇跡」と言われた。しかし、これは決して奇跡ではなく普段から訓練をしていたからだ。
地震発生時、全国の放送メディアが「すぐに高台へ避難を」という緊急コメントをオンタイムで発信するようになったのも、東日本大震災以降、顕著になった。一刻も早く避難することが重要である。
例えば、オフィス街を歩いていると、立ち並ぶビルから、割れて粉々になったガラスを浴びる可能性が高いので、ビルから離れ、持っている鞄やバッグを頭にのせて避難する、という行動がすぐに取れるのか。意外にこうした感覚が薄くなっているのではないか。
現代社会での災害時は、一時的に乗用車で避難するケースも多い。この避難方法は、急激に混雑、渋滞する可能性が高いため、車を置き、山や高層マンションのようにとにかく高い場所に避難する判断ができるか。
このように普段から自分でシミュレーションし、訓練する“心の準備”が必要になる。能登半島地震から2か月あまりが過ぎた。地震大国・日本に住む私たちは、決して他人事と思わず、強い意識を持っていただきたい。