全国で3月中旬ごろからおこなわれる卒業式は、学生生活の節目となる大きなイベント。社会人になってからはすっかり縁遠くなってしまう卒業式ですが、今も思い出として記憶に残っているという人も多いのではないでしょうか?
卒業式と言えば花束などのプレゼントがつきものですが、沖縄では卒業生たちに「レイ」を贈ります。首飾りを贈るという独特の文化について、沖縄市内でレイ関係のアイテムを取り扱う店に詳しく聞いてみました。
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レイとは、そもそもハワイで暮らす人々の間で古くから伝わっている伝統衣装のひとつ。魔除けや幸福の祈願などの意味を持ち、神聖なアイテムです。一般的には花や貝を使ったものがよく知られており、日本においては観光でやってきた旅行者の首に「歓迎」の意味を込めてレイをかける……というイメージが強いでしょう。
さて、沖縄の卒業式ではどんなレイが用いられるのでしょうか? ポピュラーなのはキャンディやお菓子を使ったタイプだそうで、発祥に関しては諸説あり、地元の菓子屋が作った「キャンディ・レイ」が、時を経ていつの間にか“卒業式必須アイテム”として定着したという説が有力です。菓子の種類は人によりさまざま。駄菓子や箱入りなど、贈る相手が好きなものやレイを作りやすい形のものを使うのが主流です。
「卒業式が終わったあと、卒業生たちが歩む『花道』として贈られることが多いです。卒業生の両親や兄弟、塾の先生や部活の先輩・後輩、時には友人同士で贈り合うことも。花束のかわりに、『おめでとう!』という気持ちや感謝の気持ちで贈っているのだと思います」と話すのは、沖縄市に店を構える「オキナワムームーの店 ラ・セーヌ」の店長。
約25年前にはすでに卒業式でレイを贈る文化があったと店長はいいます。必要な材料はスーパーマーケットや100円ショップでも手に入るため、友達同士で贈り合う場合は卒業生自ら作るとのこと。最近では内容も進化しているそうで「大根や人参・じゃがいもを使ったレイを贈っているのを見たこともあります。中には、お菓子でランドセルや幼稚園バック、傘・帽子を作って渡す人もいるようです」とのこと。
レイは手作りに加え、ショップや“レイメーカー”と呼ばれる専門のプロにオーダーすることもあります。同店にはリボン製の花で作るオリジナルレイがありますが、卒業式シーズンが近づくと生徒の家族からのオーダーがぐっと増えるのだとか。卒業式では桜・マリーゴールド・プルメリアなどのフラワータイプや、リボンを編んだレイを数本まとめてオーダーするパターンが多いそうです。なかには、ワークショップに通って本格的に学ぶ人もいるそうで、レイには大きく強い思いが込められていることが伝わってきます。
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冠婚葬祭・誕生祝い・開店祝い・授賞式に渡す花束代わりなど、沖縄においては卒業式のみならず様々なシーンで登場するレイ。可愛らしい首飾りかとおもいきや、人生を飾るための重要なアイテムであることがうかがえます。
(取材・文=つちだ四郎)
◆オキナワムームーの店 ラ・セーヌ
904-0004
沖縄県沖縄市中央1-7-3
電話 090-4470-4054
公式サイト