各地で桜の開花が始まっています。桜という言葉を聞くだけで春の訪れにワクワクしたり、“卒業=別れの季節”を連想して切なくなったりしますよね。いずれにせよ、淡いピンクをたずさえた風雅な姿は人々を魅了してやみません。
ですが、不名誉なことも。まるで繁盛店のように装うために行列を作る、ネット通販にやたら高評価のレビューを書く、マッチングアプリにおいて存在しない人間を演じる……など何かを盛り上げるためにわざと仕込んだ偽客・偽行為が、このうつくしい植物の名で呼ばれることです。一体なぜなのでしょうか? そして「サクラ・サクラ行為」は法律的に問題はないのでしょうか?
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まずは偽の客を意味する「サクラ」の語源について調べてみました。諸説あるそうですが、そのルーツは江戸時代に遡るそうです。当時の芝居小屋では客席から役者に声をかけて盛り上げる「見物人役」がいたそうで、派手に景気良く盛り上げてパッとすぐに消えてしまうことから、桜の花があっという間に咲いてすぐに散ってしまう性質になぞらえて「サクラ」と呼ぶようになったのだとか。他にも桜の木々はタダで見ることができるため、芝居を無料で見物する人を「サクラ」と呼ぶようになった……という説もあるそうです。
次は「サクラ行為」について。罪に問われることはないのでしょうか? 例えば、高い評価や口コミばかりの商品を信用して買ったものの実際は微妙なモノであった……などという腹立たしい思いをした人も少なからず居るのでは? アディーレ法律事務所の長井健一弁護士は「サクラ行為は詐欺罪に該当する可能性がある」と言います。
「内容にもよりますが、商品やイベントの内容・質などについて誤解を与え、勘違いした人が商品購入やイベント参加した場合には詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があります。」(長井弁護士)
「過去、出会い系サイトのサクラ行為で経営者だけでなくアルバイトも逮捕されたことがあります」と、実際にサクラ行為が詐欺罪に問われた判例があることも長井弁護士は教えてくれました。
仕込み客と思われる人々が店舗に行列を作っている場合はどうなのでしょうか?
「店舗にただ並んでいるだけでは他人に損害を与えたとも言えないですし、『騙した』とも言えないために犯罪が成立する可能性はないと思われます」(長井弁護士)
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今年の桜の開花は関東から西では平年並みか、やや早めとのこと。派手に景気良く咲き誇りはかなく散ってしまう桜の花、今年も十分に楽しみたいですね。