平年からわずかに遅れて、各地では桜の開花が始まっています。さて、この時期ならではの定番といえば、各メーカーからリリースされる「桜味」の新商品。食べると我々は自動的に「桜の味だ」と感じてはいるものの、桜味とは一体何の味なのでしょうか? 管理栄養士の野口知恵さんに話を聞きました。
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「桜の味としてみなさんが連想するのは、だいたいが桜餅の味ではないでしょうか。これは、桜の葉に含まれる『クマリン』という香りの成分からきています」(野口さん)
クマリンについて調べてみると植物界に広く存在している物質であり、パセリや明日葉・柑橘類もクマリンを含む身近な植物とのこと。また、シナモンの香りを構成している成分の一つでもあるそうです。
「クマリンは生の桜の葉ではあまり香りません。塩漬けにしたり加工したりすることで香りが出てきます。花にもクマリンは含まれていますが、葉に比べるとわずか。花見に行ってもクマリンを感じることができないのはこのためです」(野口さん)
桜の味の正体についてわかったところで、気軽に桜味を家庭で楽しむ方法についても教えてくれました。「スーパーなどで『桜の塩漬け』が売られています。葉に比べて香りは少ないのですが、料理として桜の味や彩りを楽しむのにはおすすめです」(野口さん)
「桜の塩漬けはけっこうしょっぱい」とのことで、料理の味の邪魔になりそうな時は水洗いしてペーパーでしっかり水分をとってから使うのがベターだそうです。
具体的な調理方法を聞くと、「たけのこごはんのおにぎりに桜の塩漬けをあしらえば、“お花見おにぎり”にぴったり。生春巻きもおすすめで、皮に透けて見える様に巻くと華やかです。塩味と桜の香りがアクセントに」(野口さん)
ホットケーキミックスに抹茶と桜の塩漬けを加えて焼き、ホイップクリームとあずきを添えれば簡単に和カフェ的スイーツを楽しめるとのこと。また、紅茶や炭酸水に浮かべるだけでも十分に桜風味を堪能できるそう。
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桜が楽しめるのは1年のうちでも今の季節だけ。見るだけでなく、食でも楽しんでみるといいかもしれせん。