4月21日に兵庫県神戸市で開かれる「第51回神戸まつり」。昨年4年ぶりに開催され大盛況だった港町の一大イベントです。さまざまなプログラムが繰り広げられる中でも歴史が古く、来場者の注目を浴びるのが「サンバ」のパレード。サンバは日本でも知名度抜群です。しかし、ルーツや本場のカーニバルの実情を知る人は少ないのではないでしょうか?
そこで、ブラジルで経験を積んだサンバダンサーで、自身の出身地・神戸市長田区にてブラジル料理カフェを営む一紗(かずさ)さんに話を聞きました。
☆☆☆☆
一紗さんは、現在「Café Amazonas "ZUN"」を経営しながら、サンバダンサーとして、イベント出演やレッスン講師としての活動も続けています。
幼少期からシンクロナイズドスイミング(現在「アーティスティックスイミング」)に取り組み、全国大会にも出場しました。サンバとの出会いは、シンクロをやめたあとテレビCMでサンバ風景を見かけたことでした。
「なにか、キラキラして華やかで楽しいことないかな〜と探していたタイミングでした。これなら周りでやっている人もいないし、誰ともかぶらないかも! と祖母に話したら、たまたま祖母の幼なじみがサンバチームを仕切っている方だったんです。そこからとんとん拍子で見学することになり、気づいたら、導かれるようにサンバを始めていました(笑)」(一紗さん)
中学生の頃、サンバを踊るようになった一紗さんでしたが、自身の踊りにどこか満足しない気持ちを抱えていたといいます。そんな状況を脱するべく、22歳のとき、サンバの本場であるブラジルに渡りました。決めていたのは住む場所だけだったといいます。
その後サンパウロのサンバチームの門を叩いた一紗さんは、「パシスタ」と呼ばれる技術系のダンサーポジションに見事合格。以降、歴史あるチームでキャリアを積み重ねました。
派手な衣装を身に着け、情熱的な音楽に合わせて踊るイメージのあるサンバのカーニバルですが、一紗さんによるとその背景も種類も多種多様。カーニバルで使われる曲やテーマも吟味されるのだそうで、チームの中で数回にわたる話し合いや審査「エスコーラ」を繰り返してようやく決まるのだとか。
「毎年チームの幹部でテーマを考案。作曲家が、そのテーマに沿った曲をいくつか制作します。曲の完成後には、チーム内で曲を披露するイベントが毎週開催されます。そこからさらに審査が行われ、翌年のテーマ曲が決定します。同時に、選ばれた総合演出(担当)が、パレード全体の構成、山車や衣装のデザインを決め、制作にとりかかっていきます」(一紗さん)
曲や演出が確定してようやく、打楽器隊を加えた本格的な練習がスタート。なんと1回につき1時間を超えるハードな通し演奏を2回繰り返すというから驚きです。