万願寺川を渡ると、ローマ字表記“ao”で全国最小駅名になる『粟生』に到着。ヨーロッパ風の明るい駅舎は3社共同使用駅。ここで神戸電鉄粟生線・北条鉄道と接続します。各社とも1時間に1本の運行のため、発車時刻を揃え乗り換えの便宜を図っています。
『社町』は酒米・山田錦のふるさと加東市の玄関口。地球儀形の待合室が目をひきます。『滝』の駅近くには加東市を代表する名勝・闘龍灘があります。加古川の川底いっぱいに奇岩が起伏しており、落水の豪快なリズムと飛び鮎の名所としても知られています。
『加古川』を出て48分で『西脇市』に到着。乗車した列車はこの駅止まりとなります。かつては「野村」という駅名だった加古川線の中間拠点で、1990年まではここから鍛冶屋線が走っていました。沿線では唯一の有人駅で、大半の列車がここで折り返します。そして103系の運転区間もここまでで、このあと『谷川』に向けては125系が運転を担うことになります。
今回取り上げた『加古川』~『西脇市』間は1時間に1本、103系の元気に走る姿が見られる貴重な電化ローカル区間ですが、ここから先の『谷川』までは過疎路線として廃線の危機に見舞われています。そんなローカル線がなぜ全線電化されているのか? 加古川線の持つ重要な役割を含め、これより先のリポートは次回の後編で詳しくお伝えする予定です。(羽川英樹)
※ラジオ関西『羽川英樹の出発進行!』より