いまや、推し活に欠かせないアイテムとして定着している「アクスタ(アクリルスタンド)」。アニメのキャラクターやアイドルをかたどったものが定番ですが、昨年、大阪の会社が一風変わったアクスタを作ったことをご存じでしょうか?
それは、お刺身のパックなどに入っている緑色のアレ、「バラン」のアクスタです。いったいなぜ作ったのか、そして現在どうなっているのか、商品を制作した新日本ケミカル・オーナメント工業の担当者・中岸さんに話を聞きました。
――制作のきっかけは?
【中岸さん】 弊社では、刺身に入っているバランや小菊など、食品用の包装資材を取り扱っています。包装資材というと、一般の方も絶対に見たことがあるものの、どんな会社が作っているのかというのは考えたことがないと思うんです。弊社は卸(おろし)の会社なので、基本的に一般の消費者の方との接点がありません。そこで、「一般消費者の方とつながることができて、この業界のことを知ってもらうきっかけになれば」という思いから制作することとなりました。
――なぜアクスタにした?
【中岸さん】 実は、アクスタの前に、第一弾として「バランのマスキングテープ」を作ったことがありました。当時運営していたSNSのフォロワーの多くが40代前後の女性であったことから、「文具系のアイテムが喜ばれるのでは」と思い制作しました。
すると、これが想像していた以上に好評だったんです。当初はX(旧:Twitter)で行ったキャンペーンでプレゼントするのみの予定だったのですが、「プレゼントではなく販売してほしい」という声をたくさんいただき、最終的に弊社のネットショップで正式に販売するまでに至りました。
「バランのマスキングテープ」の好評をうけ、翌年に第二弾として制作したのが「バランと小菊のアクスタ」です。アクスタにした理由は非常に単純で、“SNSとの親和性が高い”という点と、なによりも“流行っていたから”です。
「バランは既存のアクスタとも相性が良いのでは」という考えもあり、バランが刺身を引き立てるように、皆さんがすでに持っているアクスタの背景に使ってもらうことを想定して作りました。そのため、土台には差し込み口を2つ作っており、前に推しのアクスタ、後ろにバランをセットできるようにしています。