「ミナミ」をさらに進むと、愛嬌がにじむ表情の中年男性…正確に言うと中年男性の「首」に出合う。つややかな肌とリアルなシワ。まるで生きている人間のような「生人形(いきにんぎょう) 池之坊」(1871[明治4]年)だ。幕末~明治期、等身大の精巧な「生人形」を制作、見世物劇を上演して名をはせた松本喜三郎(1825~1891年)の作品で、大作劇「西国三十三所観音霊験記」に使われたもの。同劇は1879(明治12)年、大阪・千日前で興行、人気を集めたという。「生人形―」は2000年、大阪府高槻市の民家で発見され、同館の所蔵となった。
阿部文和学芸員は「企画展を見た後は、現在も変わりつつあるキタとミナミを歩いてみてほしい。歴史を思い出しながら、いつもと少し違う道を選んだり、遠回りしたりして、リアルなまち歩きも楽しんでもらえたら」と話した。
会期は6月3日(月)まで。
◆特別企画展「おおさか街あるき―キタ・ミナミ―」
会場 大阪歴史博物館(〒540-0008 大阪市中央区大手前4-1-32)6階特別展示室
会期 2024年4月19日(金)~6月3日(月)
開館時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日 火曜(4月30日は開館)
観覧料 大人600円、高大生400円(常設展示観覧券で観覧可能)