この地は、1960年代に大阪・船場(大阪市中央区)が荷下ろしのトラックで大渋滞を起こしていた影響などもあって、繊維問屋がこぞって移転してきて、「箕面船場」を形成した場所。路線の延長はこの頃からの地元の半世紀にわたる夢だったんです。
『箕面船場阪大前』を出発するとすぐに地上に飛び出し、車窓右側には繊維問屋街、左側には住宅地と箕面山系が広がる穏やかな風景を見ることができます。
そして、北大阪急行の新たな北端・終点となるのが『箕面萱野』です。ここは島式1面2線のホームで、木が随所にうまく使われています。ホーム先端は狭いスペースですが、“鉄ちゃん”には最高の撮影スポットになっています。駅前にはバスターミナルも設けられ、これまで千里中央発着だったバスもだいぶこちらに移ってきました。
同駅に隣接するショッピングモール「みのおキューズモール」は、まちの自然とうまく調和した商業施設でもあります。これまでの6棟・約110店舗に加えて、新駅開業日の3月23日には、駅ホーム横と高架下に「STATION棟」が完成。ホーム横の「STATION-1」にはスーパーマーケットチェーン「ライフ」を運営するライフコーポレーションのプライベートブランドで自然派スーパーの「ビオラル」や、各種コロッケが抜群にうまい地元の人気店「クロケッタ」などが出店し、ホーム下の「STATION-2」にも新たな飲食店舗が並びます。モールに隣接する広々とした全面人工芝生の広場「箕面市立かやの広場」も家族連れには大人気です。
みのおキューズモールの一角にあるスーパーマーケット「イオンスタイル箕面」は、もともと、2003年にフランス発のスーパー・カルフールでした。当時はローラースケートを履いた店員や、今も残る斜行エスカレーターが斬新でした。(※当時、カルフールを含めた複合施設としてできた「箕面マーケットパーク ヴィソラ」が、2013年10月、「みのおキューズモール」に名称を変更)。
延伸した北大阪急行の話題に戻りましょう。運賃は『千里中央』から1駅先の『桃山台』までは依然100円なのに対し、同じ一駅先でも『箕面船場阪大前』までは延伸加算が入り160円、『箕面萱野』までは190円となっています。
この延伸により『箕面萱野』と大阪メトロ御堂筋線の『梅田』が25分で結ばれることになり、大阪市内の「キタ」エリアはもちろん、「ミナミ」エリアの心斎橋・なんば、そして天王寺へも直結するという、箕面市民の半世紀に渡る夢が実現したのです。
1970年の大阪万博のときに『千里中央』までが完成し、2025年の大阪・関西万博を前に延伸された北大阪急行の路線。箕面の新しい顔を見に、ぜひ一度ご乗車ください。(羽川英樹)