フリーアナウンサーの清水健と絵本作家の夏きこが木曜にパーソナリティーを務めるラジオ番組に、スパイスキューブ株式会社の代表取締役・須貝翼さんがゲスト出演。オフィスや自宅など、空いたスペースがあればどこでも農業ができるという、室内の野菜工場装置について話を聞きました。
――自己紹介で「農業オタク」を名乗っていましたが、何かエピソードなどがあるのでしょうか?
【須貝さん】 野菜作りが好きすぎて、土を使わず水と電気だけで野菜作りができる、植物工場というか室内農業をはじめたことから、友人たちに呼ばれるようになりました。空間を制御して、二酸化炭素濃度や温度、湿度などのすべてをコントロールできるものです。ほかにも、野菜を安定的においしく作る技術に憧れすぎて、自宅をリフォームしました。
――室内農業をはじめたきっかけは?
【須貝さん】 もともと、トマト農家になろうとしていたんです。ところが台風が来て、買おうとしていたビニールハウスがすべて飛ばされてダメになってしまった。そこで、自然環境の影響を受けない新しい農業に挑むべきだと思い、35歳のときにスパイスキューブ株式会社をつくりました。未来の子どもたちがおいしい野菜を食べられるような時代にしたかったのです。
現在、農業をしている人がどんどん減ってきていることから、食料自給率が激減しています。「農業には広い土地が必要で、ビニールハウスなどの設備がなければ収益にならないし暮らしていけない」そういったイメージが強いため、従事者が減っているのではないかと思うのです。「(農業を)室内でできる安定的な仕事にしたい」と思ったことがきっかけでした。
――室内で育てた野菜の味はどうなのか。そこが気になるところだと思うのですが、実際はどうなのでしょうか?
【須貝さん】 安心してください。私の主観だけでなく、神戸ポートピアホテル(兵庫県神戸市)などで使っていただけるおいしさです。価格、味、見た目、すべてがそろった野菜を作っていければと思っています。
ただ、「だからみんな室内で農業をしましょうよ」というわけではなくて。広い土地でしっかり日光に当てて育てる農業ももちろん良くて、自然に影響されないやり方で、「家の中やライフスタイルに農業が溶け込んでほしい」と思っています。
――先ほど話されていた、自宅のリフォームとは?
【須貝さん】 新築2年目でいきなりリフォームし、野菜を育てるための部屋を作りました。7畳の部屋をリノベーションしたのですが、妻にはとても怒られましたね。ですが、普段スーパーでは買えない野菜を作ることができるようになった今は喜んでくれています。バジルやルッコラを簡単に作ることができるので、ジェノベーゼなどの素材を大胆に使う料理を作って楽しんでいます。通常育つまでに半年かかる野菜が、装置さえあればコンセントにつなぐだけで6週間でできるんです。
この装置は、1つあるだけで最大400種類ほどの野菜を育てることができます。電気と水があれば育成できて、装置の搬入・撤去も簡単。リフォームした7畳ほどの広さの部屋でも、1度に15種類育てたことがあります。ただ、同じ環境で同時に育つ野菜をいかに見つけられるか、というオタク的な情報量も必要ではあります。