アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインなどで知られる、日本を代表するアニメーターの1人、安彦良和さんの大規模な回顧展「描く人、安彦良和」が兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開かれている。今年は「ガンダム」放映45周年で、安彦さんが喜寿(77歳)を迎えるメモリアルイヤーにあたる。
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安彦さんは1947年、北海道遠軽町に開拓民の3世として生まれた。安彦さんによると、子どもの頃の夢は漫画家だったが、高校生になると「アホなことを言っている場合じゃない」という心境になり、教師を目指すように。だが学生運動に参加したことから大学を除籍となり上京、アニメーション制作会社「虫プロダクション」の養成所に入所し、アニメ制作の道へと進んだ。キャラクターデザインを担当した「機動戦士ガンダム」は社会現象を巻き起こし、トップアニメーターとして地位を確立。1989年ごろからは漫画家として本格的に活動を始め、アニメと漫画、それぞれの世界で傑作を世に送り出している。
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内覧会に登場した安彦さんは「非常に遠回りして、気がついたら子どもの時の夢を『なんだ、俺は叶えているじゃないか』と。幸せな人生を送ってきました」と振り返り、「遠回りしたおかげで、長い足跡ができた。それをこういう立派な場所でたどっていただけるのは、非常に幸せなこと」と笑顔で話した。
展覧会は安彦さんの幼少期から現在までの制作活動を時期とジャンルで分類し、6つの章で紹介。「機動戦士ガンダム」劇場版ポスターのラフ案など、初公開作品を多数含む約1400点の資料を一挙公開している。
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「機動戦士ガンダム」シリーズの多彩な原画群に加え、劇場版アニメ「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(1978年)のポスター原案やラストシーンの絵コンテに加え、古代日本をダイナックに描いた「ナムジ」(1989~1991年)、最新作「乾と巽―ザバイカル戦記―」(2018~2024年)など漫画作品のイラスト原画、原稿なども。見どころは枚挙にいとまがなく、すべての作品をじっくり観賞するなら、1回の来場では時間が足りないかもしれない。