五輪2大会連続メダリストで、体操元日本代表の池谷幸雄さんがラジオ番組『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』(ラジオ関西、月曜午後7時30分~)に2週連続ゲスト出演。前半回となった7月15日の放送では、体操競技における団体戦の重みを語るとともに、体操選手が普段から厳しい練習に取り組む様子などを明かしました。
東京都出身で、4歳で体操を始めた池谷さん。親の転勤のため小中高は大阪で生活し、体操の名門でもある清風中学校・高校でその才能が開花すると、高校3年生・18歳のときに出場した1988年のソウル五輪で団体と個人床で銅メダルを獲得。さらに日本体育大学時代の1992年バルセロナ五輪で団体銅メダル、個人床で銀メダルに輝きました。
個人での活躍もクローズアップされがちな体操競技ですが、池谷さんは、特に五輪において団体戦=“チームジャパン”の重みを強調します。
「五輪に出られるのも大変なことだが、そのうえで、代表に選ばれたら、団体でメダルを取ろうという思いで合宿をしていく。団体と個人、どちらのメダルが重いかと言われれば、やはり団体。団体のメダルを取るためにどうしていくかと、みんなで計画を立ててやっていく」
そして、体操におけるチームワークの重要さについては、次のように語ります。
「体操は点数競技だが、団体戦のトップバッターは絶対に失敗できない。なので、失敗しない人が先にやって、点数をどんどん上げてラストの選手が一番点数を取るというのがオーダーの組み方。もちろんプレッシャーはかかります。(着地の)足を一歩でも動かしたらメダルの色が変わる……それくらいの世界なので」
ソウル五輪の体操は、まさにそのチームワークが結果につながった大会。最後の競技となったあん馬で、中国を逆転し、2大会連続の団体銅メダルを勝ち得ました。
一方、現役を引退後、芸能界などで活躍していた池谷さん。「芸能界のことを一通りやって、それを見て、何をやりたいと考えたとき、やっぱり体操教室をやろうとなった」と、2001年から立ち上げたのが池谷幸雄体操倶楽部。現在はそこで後進の育成につとめています。2大会連続で五輪に出場し、2021年に行われた東京五輪2020の個人床で銅メダルに輝いた村上茉愛さんは、その1期生だそうです。
体操競技の楽しさを子どもたちに伝えている池谷さん。ただし、選手コースで、トップレベルに挑むとなると、相当なトレーニングを積むといいます。
「いま教えている子どもたちは、小学生から高校生までいますが、だいたい日曜日とかでも朝から来て、午前10時から10時半までウォーミングアップなどの準備体操をした後、1時間ほどはずっと基礎トレーニング。休憩を挟んで、その次に器具を使った練習をします。体操競技の練習には(トータルで)だいたい8時間くらい必要。だって男子は6種目(床、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒)、女子は4種目(跳馬、段違い平行棒、平均台、床)あるわけですから、1つの種目を1時間やったとして、男子だと6時間かかるので」