「Bling-Bang-Bang-Born」はどんな意味? 音楽の歴史から考える謎フレーズの意義 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「Bling-Bang-Bang-Born」はどんな意味? 音楽の歴史から考える謎フレーズの意義

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【橋本】 すごい迫力! でも、確かに「ア~ホイヨ~」とか、出だしから謎フレーズですね!

【中将】 もともと、NHKのラジオドラマ『鐘の鳴る丘』(1947)劇中の、山男をイメージにした挿入曲でした。その後、正式にレコード化することになったんですが、作詞を担当した菊田一夫さんが当時、劇作家としてアイヌの作品を手がけていたため「ア~ホイヨ~」などアイヌ語の謎フレーズを盛り込んだ歌詞になったそうです。「明日天気になあれ」的なことを言っているそうですが、時代が時代なので意味を理解して聴いている人はほとんどいなかったでしょうね。

【橋本】 そういう意味なんですね! でも意味がわからないこそ神秘的なイメージが湧くことってありますよね。この曲はまさにそういうパターン。

【中将】 ではどんどん謎フレーズの名曲を紹介していきましょう。お次はザ・ドリフターズの『ドリフのビバノン音頭』(1973)。原曲はデュークエイセス『いい湯だな』(1966)ですが、ドリフターズもカバー。『8時だョ!全員集合』(TBS)など冠番組でもそれぞれのバージョンで多用されました。

【橋本】 有名すぎる名曲ですね! 私は「ババンバ バン バン バン」や「アービバノンノン」が謎フレーズだなんて思いもせず受け入れてしまっていましたが、これって何か意味があるんですか?

【中将】 これにも深読み勢がいるんですよ。イタリア語の「Viva(万歳)」に「Nonno(祖父)」、もしくはフランス語の「Non(いいえ)」を組み合わせたとか……。教養ある人がひそかなメッセージを歌詞に含めたって思いたいんだろうね。でも、これはレコーディングのときに加藤茶さんが即興で思い付いたとか、当時、銀座のお姉ちゃんたちの間で流行っていたお囃子を取り入れたとか言われています。

【橋本】 元ネタっがあったとしても即興でこんなフレーズ思い付くのって天才ですね! そして「Bling-Bang-Bang-Born」にも似てる(笑)。

【中将】 確かに(笑)。1967年にはザ・スパイダースの『バン・バン・バン』もヒットしてるし、バンバン系謎フレーズの源泉はこの時代にありそうですね。

【橋本】 バンバン系ってインパクトあるし覚えやすいから、子どもにも受け入れられやすそうですね。意味の前に楽しいですもん。

【中将】 次に紹介する曲も昭和歌謡を代表する謎フレーズです。青江三奈さんの『伊勢佐木町ブルース』(1968)。

【橋本】 「ドゥドゥビ ジュビドゥビ ジュビドゥヴァ」。これも有名な謎フレーズですね!

【中将】 これはジャズやブルース由来のスキャットですよね。そもそもアドリブでテキトーなフレーズを音楽に乗せたところから始まっているので、意味なし謎フレーズということになります。海外由来の意味なし謎フレーズということではヨーデルとかもそうですね。

【橋本】 スキャットは感情を音に乗せる感じで、無意味なのに意味を感じますよね。

【中将】 「無知の知」ならぬ「無意味の意味」ですよね。この曲に関していえば、この意味のないフレーズがあるからこそ底知れないセクシーさが醸し出されるわけで。

【橋本】 余白があるからリスナーの想像が膨らむんですよね。

【中将】 年配の人が最近のJ-POPの歌詞を腐すのに「ブログみたい」と言うことがありますが、確かに言葉を詰め込み過ぎてて余白がないんだよね。そういう視点はCreepy Nutsはけっこう詩的センスがあるのかもしれない。

【橋本】 でも昭和世代でもさだまさしさんの歌詞とかすごいブログみたいですよね(笑)。

【中将】 あそこまでいけば名ブログなんですよ(笑)。お次に紹介するのは沢田研二さんの曲です。『酒場でDABADA』(1980)。

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