2024年4月、宝塚市は市政70周年を迎えた。これを記念して宝塚市が所蔵する美術作品を一堂に展示する「市制70周年記念展 宝塚コレクション-宝塚市所蔵作品展-」が宝塚市立文化芸術センターで開催されている。9月1日(日)まで。
宝塚市が所蔵する美術作品は、これまでまとめて展示される機会がなく、今展は、宝塚市が持つ文化的財産とその魅力を見つめ直す機会となる。宝塚市で暮らし、宝塚市で活動したアーティスト中畑艸人(なかはた・そうじん)と元永定正(もとなが・さだまさ)の作品、約70件を中心に、市民にとって「たからもの」である美術作品を一堂に展示。また、宝塚市が育んできた歴史や文化も併せて紹介する。
中畑艸人(1912~1999)は、1950年代から、地方競馬で魅了された馬の姿を描くようになり、馬の動きが伝わってくるような力強さと美しさは国内外で評価され「馬の画伯」と呼ばれた。1995年の阪神・淡路大震災で被災し、当時の混乱や恐怖を馬に託して描いた『惨‼‘95一月一七日』や、宝塚市では初公開となる初期の作品『神旗争い(相馬野馬追)』の他、世界で起きた紛争などを題材に、ギリシャ神話の要素と融合させ、現実を神話的な世界観で描いた作品も。中畑の作品は市役所や市立病院で「常設」として展示されているが、これらを除いた作品が勢ぞろいするのは8年ぶりという。
一方、宝塚市大使も務めた元永定正(1922~2011)は、色鮮やかでユニークなモチーフを描く抽象画や絵本の分野などで知られる。リトグラフや立体作品など遺族から寄贈された60作品すべてを展示する。このうち「いろだま」シリーズのインスタレーションは宝塚市内では10年ぶりの展示となる。絵に描かれた、上部に丸みを帯びた円柱状の形からころころと転がる「いろだま」が、絵から飛び出してきたように床に広がる。その数はおよそ1000個。また、その豊かな表現方法に触れられる版画作品のほか、妻・中辻悦子氏との共作となる立体作品もある。