神戸徳洲会病院(神戸市垂水区)で、カテーテル治療後に複数の患者が死亡するなどした問題で、被害者や遺族をサポートする弁護団が31日、神戸市内で会見した。
弁護団は神戸徳洲会病院に対して、医療法に基づく医療事故調査(院内調査)を求めており、このうち70代男性(2023年1月死亡)について6月、先行的に病院側から報告を受けた。
しかし、その内容は、男性の死亡に至る経緯が不明のままで、十分な分析や解明がなく、病院側の過失や、カテーテル治療と死亡との因果関係に触れていなかったという。
男性は吐き気やめまいの症状があり、神戸徳洲会病院に救急搬送された。急性心筋梗塞の診断を受け、1回目のカテーテル治療を行った。
その後呼吸が止まり、心停止となったが、約20分後に心拍が再開したため、2度目のカテーテル治療を行った。
ところが男性は再び心停止し、死亡した。
弁護団は、「病院側は、より早い時点で患者の状態の悪化を認識して、しかるべき対応が必要だった」と指摘している。
病院側は2024年3月に作成した調査報告書で、「男性は心筋梗塞の合併症としての心破裂で、ただちに開胸手術をしたとしても救命できた可能性は低い」としており、過失行為や、男性の死亡とカテーテル治療との因果関係を認める意見は得られなかったという。
これを受け弁護団は、▼病院側は男性の死因を「偶発的に起きた心破裂」としたが、死亡に至る経緯を明らかにしていない▼より早い時点で患者の状態の悪化を認識した上で対応していれば、救命できた可能性はあった、などとしている。
また、医療記録が保管されていないことなども問題点に挙げ、「説明と調査が尽くされていない」と指摘した。
弁護団は今後、専門家の意見を聞くなどして、調査報告書などを精査し、損害賠償請求の可能性の有無を検討する。
このほか、第三者機関「医療事故調査・支援センター」による調査を求めるという。