月亭方正さんの筆頭弟子、月亭柳正さんがラジオ関西の番組『clip』に出演。弟子入りから3年の月日を過ごしてきた柳正さんに、入門しようと思ったきっかけや師匠・方正さんとのエピソード、現在の状況と心持ちなどについて聞きました。
月亭柳正さんは1999年生まれの24歳。タレント・山崎邦正として各方面で活躍ののち落語家に転身した月亭方正さん(56)の初弟子として、2021年に入門しました。
「一応“一番弟子”ということで、『月亭八方一門 方正門下筆頭弟子 月亭柳正』というカッコイイ肩書でやらせてもらっています」と話す柳正さん。弟子入りから3年を経て、今年の4月に見習いとしての修業を終えました。
弟子入りのきっかけについては、「いろんな師匠方の落語を見ている中で、うちの師匠って熱かったんです、落語のパッションが」と、方正さんの情熱に心打たれたことを明かし、「だいたい、50(歳)を過ぎるといい意味で落ちついて(落語を)する方が多い中で、うちの師匠はすごくどん欲。『まだまだ若い、エネルギッシュやな』っていうところに、僕はすごく惹かれました」と話しました。
弟子入りの希望を伝えた時、方正さんからは「弟子取る器じゃないし、まだまだ自分のことばっかりやけれども、それでもいいんやったら背中を見てくれ」との答えが返ってきたそう。その言葉からも、方正さんの落語に対する熱く真摯な思いがうかがえます。
柳正さんは、そんな師匠・方正さんの落語家としての姿勢を「常に人に感謝しながら落語やってはる」と感じているとのこと。「古典(落語)は、(方正さん自身)ほかの師匠方からお稽古をつけていただくので、『落語させていただいてる』っていう気持ちが人一倍強いのかなって……僕はそれをすごく感じますね」と、方正さんの言動に込められた他者への感謝をしっかりと受け留めている様子でした。
実はこれまでたった一度、方正さんから、落語とは一見関係のないことで怒鳴られた経験があると明かした柳正さん。背景にあったのは、やはり“人への思い”だったのだとか。
柳正さんに対して、方正さんの口から大声で発せられたひと言。それは「お前電気消せよ!」。方正さんはその場で、なぜそれほどまでに怒ったかの理由もきちんと話してくれたそうです。
「『この建物はお前のものじゃない。他の楽屋や、よそ(他所)の色んなところで電気をつけっぱなしにするのは、その人(建物の所有者や管理者)に対して気持ちの優しさが足りてない。気遣いが足りない』といわれました」(柳正さん)
その出来事から、日常の些細なことにも人への気遣い・思いやりを持つことの大切さを教えられたと柳正さんは振り返りました。
方正さんの細やかな気遣いは、弟子・柳正さんにも向けられています。
修業中は一年365日毎日一緒にいた二人。年季が開けて一人で高座にあがるようになってからは顔を合わせる機会が激減し、先月も、会えたのは一回だけだったそう。しかしその一回の機会に、方正さんの弟子への思いはこぼれました。