夏のこの季節になりますと、「おばけ」「幽霊」「怪談」とかの特集が、テレビやトークイベントなんかでよく行われますよね……。
私にとっても、夏はヒヤッとする「おばけ」の季節……。そう、「おばけ」が食べたくなる季節なんです。
「おばけが食べたいって、どういうこと?」と思うかもしれません。地方によって呼び方はいろいろと異なるのですが、一般的に「さらし鯨」のことを「おばけ」と言ったりしまして。私は、小さいころから「おばけ食べるか?」と言われて育ちました。
このおばけは、鯨の尾びれ部分を塩漬けにしたもの。薄くスライスし、加熱してから水にさらしていただくんですけど、なぜ「おばけ」と呼ぶのか?
見た目が白くゆらゆらと動く幽霊のように見えるからやと思ってたんですが、どうやら鯨の尾びれ部分を漢字で「尾羽毛」と書くそうで、「おばけ」とか「おばいけ」って呼ぶんだそうです。
じつはこれ、居酒屋のメニューにも結構ありまして。お品書きに書かれている「おばけ」の文字を見て、その存在を知らない人は「えっ、おばけ? おばけってなんよ?」と思うそうです。
食べ方は、冷やしたおばけを酢味噌や梅肉、ポン酢につけていただいたり、刺身のようにわさび醤油につけていただいたり。あとは、野菜サラダに入れれば、野菜の“シャキシャキ”とおばけの“コリコリシャリシャリ”とが相まって食感のアクセントになって、おいしくサッパリといただけるので、暑い季節にぴったりな食べもんやなと思います。
それ以外にも、さまざまな食べ方があるんが「おばけ」。