岡山県奈義町は岡山県北東部、鳥取県との県境にある自然とアートと文化が融合した小さな町。中心部にシンボル的に建つのは「奈義町現代美術館」。建物の設計を世界的建築家の磯崎新氏が行った。3組のアーティストによる3つの展示室が作られ、奈義町の雄大な自然を作品の一部とした“作品と建築を五感で体験する体感型美術館”の先駆けとして1994年に開館。町の北側には国定公園の那岐山連峰が連なり、那岐山麓に広がる高原がそのコンセプト通り町との壮大なフュージョンを見せる。
そんな奈義町で2024年9月28日(土)17時から「アートdeミート NAGI 2024」が開催。2016年の初開催から、コロナ禍も経て今回で6回目となる。同町は畜産業が盛んな地域として知られ「なぎビーフ」や「おかやま黒豚」といったブランド肉の数々が生産されており、これらの認知度向上を目指したことが同イベントをスタートするきっかけとなった。
身近なアート空間を利用した「一夜限りの非日常的な特別体験」を味わえる内容となっており、毎年様々なアーティストを招いての映像や音楽のアート作品と県内で活躍する5人のシェフによる極上グルメのマリアージュを楽しめるという。
また、今年は「森の芸術祭 晴れの国・岡山」とのコラボレーション開催が大きな魅力となっている。芸術祭では多くの世界的アーティストによる作品展示とともに、俳優でダンサーの森山未來氏プロデュース「さんぶたろう祭り」もおこなわれる。「さんぶたろう」とは奈義町に伝わる伝説の巨人で、この地の地名や名跡・自然などに多くの伝承を残している。森山氏はこれに着想しフェスをイメージしたとのこと。
同日11時~14時は「農林業祭」を実施。子どもたちによる稚児行列で始まり、テント村などが設営される。こちらのイベントの目玉は、なぎビーフ和牛串1000本の無料配布。5年に1度行われる全国和牛能力共進会(別名・和牛オリンピック)に4回連続岡山県代表として出場し毎回優秀な成績を残しているなぎビーフは、この地方で生産される黒豆「作州黒(さくしゅうぐろ)」をえさに与え、肉本来の豊かな風味と脂肪のとろけるような甘みを持っているのだとか。
奈義町の見どころはイベントやアートだけではない。那岐山の中腹には、国の天然記念物である推定樹齢900年・40メートルの巨大なイチョウが鎮座している。浄土宗の開祖である法然上人が幼年期に学業成就を願って挿した枝が芽吹いたといわれており、秋には見事な黄葉で彩られるそうだ。
江戸時代後期から受け継がれてきた地歌舞伎である「横仙歌舞伎」も地元の人々によって大切に守られており、今でも定期公演を中心に保存伝承活動が行われ、県の重要無形民俗文化財にも指定されている。
※ラジオ関西「金曜Clip」 2024年8月30日放送回「岡山県北 美の国Clip」より
⬛︎アートdeミート NAGI 2024
チケット制(前売券4000円・当日券4500円)
※5種類の肉料理の中から1品をチョイス、ライス・スープ・デザート・1ドリンクに「奈義町現代美術館当日入場券」がセット