【橋本】 カップルからしたらそうですよね(笑)。年齢にもよるけど、成人していたらわざわざ言われたくないですよね。
【中将】 こういうテイストの警察ソングって、けっこう多いんですよ。昭和って今ほど治安も良くないし、青少年非行も盛んだったから、そういう影響ですかね。この曲がリリースされた1956年って、ようやく戦後の暗さから抜け出したような時代だけど、その20年後にまったく同じテーマの曲が大ヒットします。ピンクレディーで『ペッパー警部』(1976)。
【橋本】 ほんまや……(笑)。いちゃつくカップルにペッパー警部が「もしもし君たち帰りなさい」って言ってますね!
【中将】 よほど遅い時間なのかと思いきや、まだ「たそがれどき」ですよ。多くの自治体では青少年を深夜外出させてはならないという青少年保護育成条例がもうけられていますが、補導対象となるのはだいたい午後10時か11時以降。夕方に「家に帰れ」と言うのは明らかに越権行為ですね。
【橋本】 文句言われる筋合いないですね!
【中将】 菜津美ちゃんは10代の時に周りの人が補導されるようなことってありましたか?
【橋本】 私が10代を過ごしたのは川西(市)のちょっと田舎のほうなので、夜はほんとに危なかったんですよ。だから補導じゃないけど夜8時、9時に自転車で走っていたら、お巡りさんから声をかけられることはありましたね。
【中将】 田舎のほうだとそういう声かけがあるんですね。僕が通った高校は厳しめの進学校だったんですけど、夜10時過ぎまで居残りで勉強させられるようなことがよくあったんですよ。条例通りに取り締まったら、学校出た瞬間に補導されちゃうかもしれない(笑)。
【橋本】 補導って拒否できないんですか?
【中将】 調べたんですが、補導はあくまで任意なので拒否できます。でも応じていったん補導されてしまうと、基本的には保護者が引き取りに来るまで拘束されることになります。
【橋本】 これは知っておいたほうがいい情報ですね!
【中将】 お次は職務質問について歌った警察ソングです。泉谷しげるさんで『黒いカバン』(1972)。警官に「おい、ちょっと」と呼び止められ、さも当然のようにカバンの中を見せろと言われた若者の憤りを歌った曲です。
【橋本】 以前、中将さんも職務質問されて怒ってましたね!
【中将】 JR神戸駅の近くで仕事の電話をしてたら急に呼び止められてカバンの中身を見せろと言われたんですよ。一連の物言いが非常に威圧的で無礼だったので徹底拒否して、県警本部にクレーム入れて謝罪してもらいました。