東海道50番目の宿場町として発展した旧水口町。明治の開業時からある『水口』の駅舎は、市街地からは少し離れた場所にありますが、長い歴史を伝える木造の駅舎や郷愁をかきたてる待合室は、鉄ちゃんにはたまらないスペースです。
この駅から歩いて20分ほどのところにあるのが、行基が建立した臨済宗の古刹「大池寺(だいちじ)」。本堂には甲賀三大仏のひとつである大きな木彫りの釈迦如来が鎮座しています。また小堀遠州作のさつき庭園は圧巻で、宝船・鶴亀や大海原などを表した庭を住職自らが丁寧に刈り込み参拝客の目を楽しませています。
宗教団体と旧水口町の請願でできた『水口松尾』を過ぎると、全長147メートルの清水山トンネルにさしかかります。これが歴史遺産のレンガポータルのトンネル。ここを制限20(制限速度20km/h)でゆっくり進んでいきます。
『日野』は、近江八幡・五箇荘と並んで、多くの近江商人を生んできた歴史ある街。明治の開業時からある駅舎を、古き良きものを残して7年前にリニューアル。木造のベンチが残るホームや、交流施設を兼ねた待合室も昔の面影をしっかり残しています。また駅に隣接する鉄道資料展示室では、かつて使用された鉄道部品や思い出の写真などが数多く展示されていました。
駅から少し離れた街中に出ると見どころはいっぱい。「日野まちかど感応館」は元薬屋さんの建物で、日野商人の主力商品である万病感応丸をつくっていましたが、いまは町の観光基地になっています。もうひとつ見逃せないのは日野商人として大成功した山中兵右衛門の豪邸である「近江日野商人館」。表は質素に、裏は豪華なしつらえとなっており、当時の近江商人の生活ぶりがよくわかります。
そんな歴史ある街並の一角にあるのが石挽蕎麦処「守貞」。名古屋にある人気店の2号店ですが、店内は土間を生かしたクラシカルで落ち着いた空間。ここで打ちたての二八の細打ちそばを堪能します。また時間に余裕があれば、日野町にある体験型農業公園「滋賀農業公園ブルーメの丘」や植物園「日野ダリヤ園」にもぜひ足を延ばしてみてください。