【芥田】 ACLEで花開く選手も出てくるかもしれないというのは、新たな楽しみでもありますね!
【河治】 逆にACLEを利用するというのではないですが、そこで出てきた選手がリーグ戦の終盤戦にヒーローになるような、逆転の発想もできるので、いい意味で(過密日程を)とらえていくことがいいのかなと思います。
【芥田】 今シーズンからスタートしたACLEについて、大会方式が大きく変わりましたね。
【河治】 これまでは、(日本のいる)東地区でそれぞれ4~5グループにわかれて、上位1チーム、プラス各組2位のなかの何チームかが決勝トーナメントに上がっていましたが、今回からは(ACLE出場の)東地区12チームのうち、上位8チームが次のステージ(ラウンド16)に進むことになりました。ただし、トリッキーなのは、総当たりではないことと、ホーム&アウェイで試合をするのではなく、(相手との対戦も)ホームかアウェイかもあべこべなことです。Jリーグの仲間、横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、そしてヴィッセルで、(東地区の)対戦相手は変わらないですが、対戦の順番と、ホームかアウェイかが変わってくるので、これがどういうあやになるかというところ(が見どころ)。
どんどん同じチーム(顔ぶれ)と日本の3チームが対戦していくので、たとえばマリノスが対戦したチームのことを、ヴィッセルは次の対戦のときはわかっているわけ。ライバルでありつつ、ある種、(国ごとの)チーム戦というか。ヴィッセル、マリノス、フロンターレで、しっかりスカウティングしあって、対戦チームをわかっていきながら、上位を争い、なんとか3チームとも上の8つに入ってほしい。その先にはもしかしたら(日本勢同士の)直接対決はあるかもしれないですが。ACLEでは、ほかのチームが対戦した相手のことは、次に対戦するときは(分析して)わかっているので、普段のJリーグのライバルチームの戦いが、物差しになる。そういう意味ではすごくやりやすいのかなと。
【芥田】 参加報酬や、優勝報酬もすごいようですが……。
【河治】 これがとてつもない!(※優勝・参加報酬の総額は1200万ドル、日本円に換算すると約17億円!?) ここで勝ちあがって頂点にいけば、さらに世界にもつながっていきます。ヴィッセルとしては、Jの連覇ももちろん大事ですが、アジアの戦いをしっかり勝ち抜いてほしいです。
【芥田】 ACLEにおいて、初戦のブリーラム・ユナイテッド以外で要注意の相手は?
【河治】 蔚山HD(韓国)です。韓国でも最強レベルのチームで、身体の強いという韓国クラブの特長があるだけでなく、テクニカルにボールをつなぐこともでき、ヴィッセルとすごく共通するところもあるチーム。シンプルにどっちがチームとしてより強いのかという、ストロングな戦い、ぶつかりあいみたいにもなるのでは。その先にもつながるというか、ヴィッセルがアジアの頂点を狙ううえでも指標になる相手。蔚山に勝てなかったらリーグステージを突破できないというわけではないですが、そこでしっかり勝つ、いい戦いをすることが、その先にもつながるのかなと。
【芥田】 キャプテンの山口選手の負傷による長期離脱はつらいところもありますが……。総力戦のなかで、期待する選手は? また、メンバーの組み方でのポイントは?
【河治】 蛍選手に関しては、夏の補強も彼がいる前提でやっていたと思いますし、そうでなければ補強があったかもしれない。そこは難しいところ。ただ、いるメンバーでチャンスが出てくる選手もいると思います。そういう意味では(同じボランチが本職の)鍬先祐弥選手にはすごく期待しています。(過密日程では)完全なターンオーバーというより、スタメンのうちの半分くらいを入れ替えつつ、そこ(新たに出場した選手)がどうフレッシュさを出していけるか。また、残っている(続けて出る)メンバーが継続性みたいなものを出し、それらをうまく(ミックスして)やっていくのかなという気がしています。
【芥田】 ACLEについてはシーズンをまたがるので、チーム作りの難しさもあるのでは?
【河治】 Jリーグは春秋制なので、ACLEの秋春制とずれますし、ACLEは今年で完結せず来年へ続きます。Jリーグは終盤戦を迎えることもあり、そこのやりくりの難しさについては、ヴィッセルとしても初体験で、未知数のところもあり、怖さもあるのかもしれませんが、それも含めて楽しめればいいのではないかと思います。
※ラジオ関西『GOGO!ヴィッセル神戸』2024年9月16日放送回より